複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.105 )
日時: 2012/08/15 18:10
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)



+68+


「……孤独、話がある」

俺の部屋に入って来たねーちゃんは珍しく浮かない顔をしていた。
基本ねーちゃんは先輩のように感情を表に出さない。でも、俺の前では笑っていることが多い。俺を安心させるために。俺に不安を与えないために。
そんなねーちゃんを俺は何時だって頼りにしてきた。ねーちゃんのこんな顔は、見たくない。さみしそうな顔。
止めてよ、不安になっちゃうだろ。

「……何」

布団を面して、顔を全部出す。ねーちゃんは後ろ手にドアを閉めて、ベッドの横に座った。
俺に目線を合わせてくれる。俺を思ってくれる。

「桐に、会いに行って、孤独」

「……先輩に?」

なんで、いまさら。俺が先輩に会いに行っても、もっと嫌われるだけ。もっと迷惑をかけるだけ。今更、先輩にどんな顔をして会いに行けばいいんだよ。
俺は布団を被った。会いたくない。会って、嫌われてしまったら、もう俺に居場所はない。俺は、そうしたら。先輩を失った俺の人生なんて。要らない、要らないよ。

「ごめんね、孤独。役に立てなくて、ごめん。お姉ちゃんは、孤独だけの桐にすることはできなかった。でもね、孤独」

布団をどけて、ねーちゃんを見る。
ねーちゃんは笑っていた。柔らかい、いつもの顔で、笑っていた。

「そろそろ自分で動け、ばああああああああああああああか!!」

その両目からは、涙が流れていた。