複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.106 )
日時: 2012/08/17 17:37
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)


+69+


孤独に、何かあったのだろうか。心が変わるような、何か。良いことかな、悪いことかな。ちょっと不安だ。そして、怖い。孤独がいつもと違う。前と違う。私の行動に素直に従い、自分の感情と浴場を抑えて来た孤独じゃない。明らかに違う。自分の欲を私に押し付けようとして来ている。
私は息をのんで、エプロンを着た。
店長と卓巳、そして、築。あの日のことを、孤独が知っている。私が看病に行くことを、阻止しようとして居る。誰かに、言われたんだな。
卓巳と、私のこと。誰に。私と卓のことを知っているのは、誰だ。
店長?違う。あの人は、知らないはずだ。

「孤独、店長に会った?」

ロッカールームのドアノブに手をかける。孤独は振り返らない。

「会ってませんよ。大変らしいですね。でも、すぐに帰ってきますよ」

きっと、孤独は笑ってる。私の知らない顔で、笑ってる。
嫌だな。孤独まで、私の知らないところに行くんだね。でも、それなら安心。私の知っている孤独を記憶のまま、別れを告げれば良い。
店長にも、私の知らないところがあった。
みんな、変わってしまう。

「あの人、頭おかしいんでしょ?」