複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.107 )
日時: 2012/08/17 17:57
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)



+70+


「孤独、そんな言い方は、」

思わず振り返ると、すぐそばに孤独の顔があった。驚いて、のけぞるとドアとぶつかって乾いた音がした。孤独の顔は、私の動きを追ってくる。

「あれ? ダメなんすか? んーじゃあ、あの人疲れてるんでしょ?」

なんだこれ。なんだコイツ。こんな奴、知らない。こんなもの、知らない。孤独じゃない。孤独はどこに行っちゃったの。帰ってきてよ。ヤダヤダヤダ。なんでこんなこと考えてるの、私。孤独になんで私縋ってるの。
私は、孤独を利用して来ただけ。自分が壊れないための。って、壊れそうだ。孤独に壊されそうだ。

「どうしました? 先輩、汗が出てきてますよ?」

孤独の手が、私の顎を撫でる。
確かに、汗が酷い。手が震えてきた。拳を握る。
早くしないと、戸口さんとか、来ちゃう。早く話を切り上げないと。早く、孤独との関係を切らないと。

「あーそうだ先輩。なんで店長のこと気にかけてるの? 俺以外に優しくしないでって、言ったばっかじゃん」

気が付けば、瞬きさえ忘れていた。
卓巳に追い込まれているときのように。