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複雑・ファジー小説
- Re: 思案中・つまり題名が決まっていないんだよな…ちらちら ( No.11 )
- 日時: 2012/06/05 23:35
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)
+8+
「いら、ない……?」
私の言葉の一部分だけを復唱する、孤独。眼球が揺れて、相当焦っているようだ。
別に、孤独がいらないって言ったわけじゃない。決してないとは言いきれないが。だって私は生きていける。1人で。でも、孤独は違う。私と一緒に居たいって言う。私が居ないと生きていけない、みたいな。
そんなはずないでしょ。私と同じで、孤独も1人で生きていけるよ。だって、私と同じ人間なんだから。ずっと1人でいなくちゃ、いけないんだから。
前はこんなこと、思わなかった。私には誰かが必要なんだって、私は誰かに必要なんだって、そう思って、疑わなかった。でも違うんだよ。孤独も分かるよ。孤独は誰にも必要とされないよ。仕方ないことで。それは、変わらないこと。
気づいてね、早く。私、短気だからさ。早く気が付かないと、捨てちゃうよ?
「っ! 先輩! ごめん! 調子に乗らないから! 噛まないから! 言うこと聞くから! だからっ!」
孤独の比較的大きな瞳が、濡れていく。水が粒を作って、頬を垂れる。
綺麗だな。雨みたいだ。
息を荒くしながら、私の足にしがみつく。体を震わせて、まるで捨てられた子猫みたい。確かに今の孤独は捨てられそうな子猫だね。飼い主である私に。
「いらないとか……っ! 言わないでっ……っ」
涙は止まらない。カーペットに染みを作っていく。
ねぇ、私の部屋だってこと、意識してるかな。流石にイラッとするよ。呆れるな。
「孤独」
名前を呼ばれたことが嬉しいのか、孤独は表情を明るくさせて、無理に笑おうとする。
そんな孤独の白い首筋に、私は噛み付いた。
こういうときばかりは、首輪が邪魔だな。
口内に鉄の味がしてきたところで、口を離す。
孤独の赤を見て、私は口角を上げて見せた。
「おあいこ」
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