複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.110 )
日時: 2012/08/19 21:48
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)



+73+


「……満足?」

「ん、少しだけ」

孤独の足元に視線を落とす。孤独は私の髪を撫でて、そっと離れていった。すぐさま、ロッカールームを出る。訳もなく、涙が滲みそうになって、目を思い切り擦った。

「あれ、桐さん。どうしたんですか。目にゴミでも?」

運が悪かったのか、その状況を戸口さんに見られていた。染めていなくても綺麗な茶髪を揺らして、戸口さんは笑う。私は首を振った。
声が上手く出ない。首を絞めつけるような感じがする。首輪で、締めつけられたような感覚だ。
どうして、こんな時に。私の首輪は、外れたはずなのに。
ロッカールームのドアの前からどいて、レジに着く。戸口さんは私のことを気に掛けながら、ロッカールームに入っている。
孤独とは、大丈夫だろう。私以外にはあんまり興味が無いようだし。
もう、なんなんだよ。早く私なんか捨てて、世界に目を向ければ良いのに。良い感じで、距離が開いたのに。なんでまた、変な方向で、方法で、詰めてくるの。このまま離れてくれば良いのに。

気が付いたら、涙は引いていた。
ただ、目の痛みだけが、残っていた。