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複雑・ファジー小説
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.114 )
- 日時: 2012/08/21 23:36
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
+76+
「……大丈夫って、何」
心の中にできた、単純な疑問であった。それを口に出している自分が何だか気持ち悪くて、冷たい声が出た。
大体、私に電話してきている意味が分からない。全く。ちっとも。
『なんかさ、暗そうだったから』
予想外の声音だった。私を心配するような、そんな声。
そんな声、出せるようになったんだね。卓巳は、私の中の卓巳は、いつまでも私の思いに答えなくて、いつまでも意地悪で、酷くて最低で、そんな人なのに。どうでも良いって片づけられないような、そんな存在だって空想を、押し付けてくるような人だったのに。
今は、普通の人みたいだ。店長みたいな、普通の人のよう。
「……そんなこと、無い」
『大丈夫とか、言ってくれないの』
今、一瞬元に戻ったようだった。少しだけ。ほんの少しだけ。
それに、安心しそうになっている私は、一体何なのだろう。
卓巳が今更普通になろうが、今まで通り最低だろうが、私と縁を切ったことはもう変わりない。
「……だいじょ、」
『っ、直接、言ってよ』
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