複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.119 )
日時: 2012/08/24 13:30
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w93.1umH)
参照: http://www.youtube.com/watch?v



+81+


前に会ったときは、自信に満ち溢れていた。少なくとも、それを行動と態度に現していたのに。
それを見て、私は弱くなったなぁっって思った。だけど、今は違う。安定したなぁって思う。言っていることは情けなくて、ネガティブなのに、それなのに、強くなったなぁって、成長したなぁって感じる。おかしいよね。これは、異常だ。私は、異常だ。
私は、なんて答えたら良いのだろう。私は、誰に決めて欲しいのだろう。答えずに、反応しない私を、卓巳はどんな目で見ているのだろう。何を、考えて。
相変わらず何を考えているのか分からない卓巳の瞳に、私が映っている。
情けない、顔。

「桐がどう思うか、なんて自由だ。でも、」

私が答えないと知ると、卓巳は話を続ける。
その手が、私の膝の上で固まっていた手を、包む。
初めてだった。掴まれたことも、握られたことも、切りつけられたこともあるのに、包まれたことは初めてだった。馴れない卓巳の熱を感じて、思わず振り払う。
卓巳は悲しそうに自分の手を一瞥して、シーツを握りしめた。

「ボクを見て、そんな悲しそうな顔、しないでよ」