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複雑・ファジー小説
- Re: 思案中・つまり題名が決まっていないんだよな…ちらちら ( No.12 )
- 日時: 2012/06/06 17:48
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)
+9+
「これでいいよね」
少し満足したので孤独の頭を撫でてあげる。
孤独は驚いて瞳を見開き、首筋を撫でた。細い指を赤が濡らす。
「ぁ……」
私の顔とその赤を見比べてから、嬉しそうに、無邪気に笑った。本当に、子供みたい。流石年下だな。こんなことで喜ぶなんてさ。
「うん! おあいこで許してくれるんすか?」
涙は乾き始めている。私はその跡を眺めた。拭いてやることはしない。今日は優しすぎたんだ。このままじゃあ孤独が調子に乗るから、ほどほどにしないといけない。加減が難しいのだ。飴と鞭の使い方が下手なんだろうか。
「うん。今日だけね」
だけ、という部分を強調すると、孤独は悲しそうに目を伏せる。
私に捨てられるのがそんなに怖いか。私じゃないと、本当にダメなのかな。変わりなんて、いっぱい居るんじゃ無いかな。孤独は可愛いから、大切にしてくれる人なんて、いっぱい居ると思う。店長だって、結構孤独のこと気に入ってるんだよ。私に懐きすぎているのはいけない、とか言ってるけど。
「気を付けます……」
反省しているのを態度に出そうとしているのか、孤独は正座をしながら私を見上げている。私はお風呂に入ろうと思って、タオルを持ってバスルームに向かう。
今日は一緒に入ってやらない。だって甘やかしすぎた。
時々は一緒に入ってやる。そのときの孤独は大変だ。うるさいし、テンション高い。でも
「もう一緒に入ってやらないよ」
って言えば大抵は黙る。
孤独は私に懐いている。懐きすぎている。懐きすぎて、怖い。なんで私なんだろう。何にも取り柄なんてない。決して美人じゃない。性格も良くない。どうして、そんな私に孤独は構うのかな。
構われなくなった時、私はどうするかな。
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