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複雑・ファジー小説
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.120 )
- 日時: 2012/08/24 22:01
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w93.1umH)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
+82+
私、そんな悲しそうな顔、してますか。どちらかというと情けない顔だと思うんですけど。誰か、鏡を下さい。でも、駄目だ。今動いたら、絶対、泣く。私がどうして泣かなきゃいけないんだ。でも、今すごく、泣きたい気分だ。誰かに包まれて。
あぁ、こんな時店長が居れば。私が言えば、店長はきっと抱きしめてくれる。迷惑そうな顔をしながらも、きっと、良いよって笑ってくれる。でも、そんなこと頼めない。店長には築が居る。見てしまった。築と店長が抱きしめあっているところを。それを見て、私は何だか申し訳なくなった。
少しだけ、分かってきた。
誰が悪いのか。誰が、原因なのか。誰が一番、分かっていないのか。
「桐、ごめんな」
「っぁ」
卓巳の口から、変な言葉が出た。私の口からも、声の残骸が出た。
卓巳から、絶対出ないと思っていた言葉だ。
「ボクが、もし、ボクが、やり直そうって言ったら、どうする?」
眉をひそめて、卓巳は私を見つめて来る。諦めたような表情を作って。
少しだけ、孤独に似ている。
卓巳、いろんな表情を作るようになった。もはや、もう卓巳じゃないみたいだ。
私は、答えない。何も、言わない。
病室の空気が、張り詰めた。二人はまだ私たちを気にかけている。
「——————僕は、茅菜が好きだ」
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