複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.126 )
日時: 2012/08/29 22:04
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w93.1umH)



+参照1000記念+


友達に聞いた話だ。まだ最近のこと。廊下でたまたま友達が聞いた会話。
三組のなんだかさんって女子が、あの孤独君に告白していたんだって。なんだかさんっていう部分は、よく覚えていない。私はショックだった。
勉強はあまり得意ではないけれど、結構スポーツは出来て。前やったバスケの試合でも、チームメイトに回されたパスを生かして、華麗にシュートを決めていた。そして、直後に見せる子供っぽい笑顔。汗が滴る茶色っぽい髪。適度に焼けた肌。シュートを決める瞬間の顔とは違う無邪気な感じ。高校生なのに、まだ中学生みたいな感じで。
可愛い。カッコいい。
顔も整っていて、女の私よりまつ毛が長い。この間、寝ているときに盗み見たんだ。
そんな孤独君に恋心を抱いている女の子は少なくない。
そんなことは知っていたつもりなのに。どうして、こんなにショックなんだろう。返事は、どうしたんだろう。
友達に聞いたら、そのなんだかさんは結構な美人で、勉強はできるけどちょっとスポーツは苦手で、人付き合いも苦手らしい。でも、そんな彼女に、孤独君は声を掛けたんだと。
孤独君は優しい。この間も、私の消しゴムを拾ってくれた。落した小銭を一緒に拾ってくれた。そんな孤独君に、恋。
私も、告白しようかな。時期とか、全然考えてないけど。でも、出遅れたくない。なんだかさんに抜かされたくない。孤独君に彼女ができるなんて、嫌だ。絶対嫌だ。片思いで終わらせたくない。

「ってことで、告白しようと思う」

「ちょ、え? は? 何言ってんの? 待て待て待て、早まるな」

昼休みがチャンスだと思った。
だから進もうとする私の腕を、友達が掴む。
なんで止めるんだ。私は行く。決めた。今なら行ける。告白できる。

「早いよ。何焦ってんのさ。まだ様子見ろって」

それもそうだな。
何だか勢いに乗っていた私のテンションも落ち着きを取り戻す。
そうかぁ。様子。でも、私と孤独君は特別仲がいいわけじゃ無い。会話も滅多にしない。そうか。今私が想いを伝えても、孤独君は困るだけだもんね。
冷静になった私は、昼休みの終わりのチャイムに従って席に着く。

「じゃあ、今日の宿題後ろから集めてー」

教師の声に、教室がざわつく。私はやって来た宿題を机の上に出して、後ろから眠たそうにして宿題を集めてくる孤独君を待った。
私の横について机の上から宿題のノートを取る指を、思わず追ってしまう。
私は、孤独君だけに聞こえるように呟いた。届かなくても良かった。
運試しのような物のつもりで。

「孤独君」

「え? 何?」

孤独君はわざわざ立ち止まってくれる。そして、束の中から私のノートを取ろうとしたので、首を振る。
そうじゃない。

「私がもし、孤独君のことが好きだから付き合ってって言ったら、どうする?」

内心、ドキドキのバクバクで倒れそうだった。顔に熱は集まらないので、良かった。
孤独君はノートの山を抱え直しながら、少しだけ笑った。
バスケの後に見せた笑顔じゃない。あれじゃない。違う。あのときの孤独君とは違う、笑顔。
その笑顔が示す意味は、私には分からなかった。

「あんたのこと 人間 として見られなくなる」


+おわり+


片思いの女の子と孤独。

参照1000ありがとうございました!!!!!!
初めてです、嬉しいですありがとうございます!!!!
最終回まで死なないように頑張りますっっw