複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.129 )
日時: 2012/09/01 22:50
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w93.1umH)



+88+


「あの日のことは、知ってるでしょ?」

私はクッションを抱える手の力を強めながら、孤独を見上げる。孤独は今にも泣きだしそうな顔をして、私を見ていた。
少し、孤独に警戒して要る自分が居る。
最近孤独は何を考えているのかが分からない。卓巳の事は分かるようになった。でも孤独はどうしても分からない。孤独は私に色んな質問をしてきた。でも私は、孤独に質問をすることなんて滅多に無かった。だって、そもそも孤独に興味がなかったから。
でも今は違う。今はもう孤独を放って置くことなんてできない。お互いが認知して、別れを告げなければならないからだ。孤独の気持ちも、知ってあげなくちゃいけない。
孤独はゆっくりと、頷いた。

「……忌屋卓巳の今の、いや、元の彼女は、俺の……ねーちゃんっす」

そして、頷いて顔を下げたまま孤独は言った。
クッションに、爪が食い込む。
あぁ、そうか。そろそろ認めなくちゃいけないのか。そろそろ、知らなくちゃいけないのか。
私は覚悟を決めて、現実を受け止めるように息を深く吸った。
孤独の言葉を待つ。

「先輩が忌屋卓巳に捨てられたのは、俺のせいなんです」