複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.132 )
日時: 2012/09/08 12:18
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w93.1umH)



+90+


「俺、ねーちゃんが何とかしてくれるって言った。だから、信じたんだよ。先輩の彼氏が先輩を捨てれば、俺を見てくれるかもって」

そう、信じていた。
俺はねーちゃんなんて知らない。俺はねーちゃんのことなんか考えていない。俺は俺が幸せならそれで良い。ねーちゃんだって俺の幸せを願ってくれていたから。だから、ねーちゃんは何でもしてくれるって、そう思っていた。
でも、ねーちゃんは、俺なんてどうでも良かったんだ。俺の姉だっていう責任感から、先輩の彼氏を奪った。ねーちゃんは別に好きな人が居たのに、それなのに俺のために先輩の彼氏と付き合った。
そうして、俺が先輩の世界に入るための隙間を、作ってくれたんだ。だから俺は先輩を支えるからって、言ってあげた。そうしたら、先輩は喜んでいた。俺のねーちゃんが作った隙間が埋まるって、喜んでくれた。
だから俺は幸せだった。でも。

「先輩が、また彼氏と会ったから、だから」

追いだされるんじゃないかって、心配になった。
俺が守っているこの隙間は、元は彼氏の隙間。だから、俺の代わりができたら先輩は彼氏を選ぶから。だから。

「俺、決めたんだ。俺が、彼氏になれば良いって」

そうすれば、俺の居場所がきっとできるから。