複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.136 )
日時: 2012/09/14 17:56
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w93.1umH)



+コドクビワ、キミイゾン。+


先輩の彼氏、忌屋卓巳。
その関係を壊してもらった。ねーちゃんが忌屋と付き合うことで、すべてを壊して、すべてを作り直すことにした。忌屋は自分が先輩のことを必要として居ることに気が付けずに、面白そうっていう理由だけでねーちゃんと付き合う事にしたんだ。ねーちゃんは我儘な忌屋に合わせるために、傷だらけになっていた。先輩の代わりになるなら、これくらいは当然だって、忌屋は言いたかったんだ。そうに違いない。
俺は、先輩に認めてほしかった。
最近、忌屋と先輩が会ったって聞いて目が覚めた。細かった。首輪をして、先輩を支えているつもりになっていた。
先輩はもう俺がいらないんじゃないか。そう気が付いた時、ねーちゃんが店長とよりを戻した時。頭の細胞が全部死んだ。
もう終わってしまうかもしれない。ねーちゃんも先輩も、俺の味方じゃなくなってしまう。それは嫌だ。それだけは。
先輩の側に居たかった。先輩は俺の側に居てほしかった。俺のこんな醜い感情を、先輩は認めてくれた。今、認めてくれた。
俺たちをつないで来たものを、捨てた。今までの関係を、すべて。今までの俺たちは死ぬ。死んだ。俺は死んだ。先輩も死んだ。

化粧をしなくても白い肌。整った眉。茶色い瞳。長い髪。
全部、俺の好きな先輩。何も変わってない。
中身は、どうですか。心は、どうですか。

俺は、涙をぬぐった。

「先輩、好きです」

変わる。終わる。もう、大丈夫。
先輩がそう言った。行動で示してくれた。
もう、俺は大丈夫。

「うん、知ってる」

もう依存の証が付くことのない首に、俺はそっと爪をくいこませた。