複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。【完結】 ( No.139 )
日時: 2012/10/21 20:27
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: w1J4g9Hd)



+桐への愛情度:低ED+


「先輩は、俺のことが嫌いですか」

なんで、いまさらそんなことを聞くのだろう。
私は、孤独に縛られることは嫌だ。私は、この首輪を孤独に渡して、それですべてを終わらせようと思った。それで良いでしょ。私が決めたことなんだ。もう引き返す事はできないよ。私の手の中には首輪がある。私と卓巳をつないでいたもの。私と孤独をつないでいたもの。そして、私と孤独の関係を終わらせるもの。すべての切り札。
私はこの輪っかにずっと頼ってきた。これで、相手をつなぎとめることで、自分を保って来た。
ちょっと待ってよ。この首輪で、孤独を捨てたら、私はどうなるんだろう。私はじゃなくなってしまうんじゃないのだろうか。私は、どうすればいいんだ。私は、どうするべきなんだ。
私は、どうしたら良い。私は私を守れるのか。

「なんで、そんなこと聞くの、いまさら、いまさら」

私は、髪をかきむしった。
急いで立ち上がる。私は一人で立っていられる。私は、一人で生きていけるはず。
だから、もうこれで終わりにしようよ。私はもう、分かんないんだよ。私はどうすれば良いのか、私はどうしたいのか。
孤独は、悲しそうに眉をひそめて唇を噛む。彼の足が震えている。
バカみたい、バカみたい。私が孤独を追いつめているんだ。仕方ないだろう。私は分からないんだ。私にも分からない答えを求めないで。お願いだから。
私を、これ以上、混乱させないで。

「先輩、っ、やっぱり、俺のことは嫌いなんですか」

孤独が苦しそうだ。知るか、そんな事。私は分からない。苦しいよ。そりゃあ私も苦しい。私も怖くてたまらないし、つらいよ。でも、私は分からないから。私は自分がどうしたいのか、全く分からないから。

「……じゃあ、俺のこと、好きですか」

ゆっくりと、孤独は私に近づいてくる。私を、責めるように。

私は、私は。

「分かんない、分かんないよっ、止めてお願い、孤独、私はっ、私は、」

どうしたいんだっけ。とりあえず、頭が痛いや。涙が止まらないや。前は、こんなんじゃなかった。
卓巳は私を治してくれるって言った。そんなのは、無理だ。だって私自身が私が壊れているなんて、知らないし。
私、とりあえず。

「ごめんね、孤独」

何に謝ってんのか、全く分かんないや。全くさ、何が正しくて何が間違ってんのか。それの判断も、できないの。

ベランダの窓を開けて、外に出る。
今日は、空が綺麗だ。
私は孤独の声を後ろに聞きながら、柵によじ登って一歩踏み出した。

「先輩っ!」

私さ、これ以外に貴方の依存を振り切る方法、思いつかないや。
だから、私の中で悪役になって。

ねぇ、孤独。


+BADEND+


別end。自分への愛情度が低いとこうなります。