複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.18 )
日時: 2012/06/10 20:50
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)



+13+


先輩は、素敵な人だ。
このバイトが決まってまだ時間が経っていない時は、無愛想な人だと思った。全然笑わないし、何に関しても面倒くさそうにやるし。
なんで、こんな仕事をやっているのか聞いたら、答えてくれなかった。我ながら、くだらない質問だと思った。
月日が流れて、いろんな事を教えてくれる先輩のことを、もっと知りたいと思うようになった。どこに住んでるのかなーとか、誕生日は何時なのかなーとか、血液型はなんだろうなとか。
何故か血液型だけは答えてくれて、そうしてから朝の占いで、先輩の血液型のところも見るようになった。そっちに気を取られて、自分のを見るのを忘れるのがほとんどになるくらいに。
学校でも、先輩のことを考えるようになった。クラスメイトが学校の先輩の話をしていて、『先輩』と言う度に、なんだか心臓がきゅってなるようになった。
しばらくして、理由が分かった。
俺、先輩が好きになってたんだ。
知ってしまうとその感情は爆発して、毎日バイトが楽しみになって、先輩に会えば嬉しくて仕方がなくて、先輩をできるだけ褒めるようにした。女の人は褒められるのが好きだって、聞いたことがあったから。そんなことをしたら先輩も俺の事を見てくれると思った。
でも、違くて。
先輩は俺の言葉に全く反応しない。そんな先輩にぞくぞくしちゃうようになって、もっと欲しくなった。

気が付けば、先輩のことで頭がいっぱいで。
俺はもう戻れないくらいに、先輩の物なんだよ。