複雑・ファジー小説
- Re: 思案中 ( No.2 )
- 日時: 2012/06/03 21:57
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)
+1+
「先輩、おはようございます!」
「もう夕方だけど」
何回も注意しているのに、客のほうの入り口から入ってくるコイツ。もう何回も罰を受けているのに、懲りていないようだ。今度はどんな罰にしてやろうか。
私がそんなことを考えているなんてこと、気が付いていないようで、コイツは笑いながら着替えを持ってきて着替え始めた。
「ここで着替えないで」
これも何回も注意している。聞き分けのない子供は嫌いだ。
「ごめんさーい」
それでもコイツは揺るがない。客が居ないから良いものの、コイツは客が居てもここで着替える。そういう時は私がロッカールームに移動する。そうすれば、ついてくるからだ。
でも客が居ないなら、移動するのも面倒だし私はレジを離れない。休日の夜だけど、客が居ないのは珍しい。
私はコイツの着替えなんてものには興味がないから、目線を弁当コーナーに向ける。
「先輩先輩」
アルバイトのくせに、私に付きまとう。本当に、めんどくさい。私が何でこんな奴の面倒を見なきゃいけないんだ。店長も私を子守だと思っていないか?
私は静かなほうが良いのに。
「何? くだらないことだったら罰増やすよ?」
「罰って何!?」
着替える手を止めて、大声を出す。罰追加。
「また客のほうの入り口から入った。ロッカールームで着替えない。大声を出す。うるさい。邪魔」
最後のほうは本音がこぼれたけど、まぁ言っちゃったし、ついでに罰追加にしておこう。これじゃあ罰を考える私が大変だ。
本当に、私がどうしてこんな面倒を。ため息が出る。
「そんなに!? 俺、何にもしてないじゃないっすか!」
「自覚なし」
相変わらず大声で顔を近づけてくるバカをひっぱたきながら冷たく言い放つと、おとなしくなった。
ちらりと視線を向けると、渋々と暗い影をまといながら着替えていた。もう終わりそうだ。
ボタンを締め終わったところを見計らって、私ははっきり言ってやった。
「しばらく私の家出入り禁止」
「そっそれはヤダ!」