複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.46 )
日時: 2012/06/25 21:15
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)


+24+


いつものように本の整頓を終えて、校舎を出ると、校門に立っている人影が見えた。校舎にはもう、教師しか残っていない。きっと生徒は、俺とこの穂波築だけだ。
俺は頭を掻きながら、穂波に近づいた。彼女は相変わらず、何とも言えないような表情を浮かべて、俺を射抜くように見つめている。

「あのさ、穂波。どうして俺のこと待ってるわけ?」

笑い方を卑下されたあの日から、穂波は俺のことを待つようになった。待っている、というか、俺が出てきたらなぜか横を歩いて、付いてくる。意味が分からない。俺は最初、無視をしていた。たまたま、なのだろう。なんて無理な言い訳をして、頭の中だけで片付けていた。それからしばらく経っても、穂波の謎の行動は続いた。
ちょうど3週間目の今日、俺はついに穂波に問いかけた。

「何故、と言うのはどういうことだ。小片辰臣」

俺の問いに、穂波は首を傾ける。
う、可愛い。可愛いんだよ。この学校では不良の分類に入るのだが、誰とも絡むことなく、一匹オオカミのような雰囲気の彼女。ミステリアスな雰囲気の彼女に釣られる男も多いらしい。ということを、俺は調べた。穂波に、少なからず、興味が湧いていたのだ。それは認める。

「私はただ、お前に興味が湧いただけだよ、小片辰臣」

これが、俺と穂波が一緒に帰ることになったきっかけの話。