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複雑・ファジー小説
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.48 )
- 日時: 2012/06/28 21:09
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)
+26+
私は指に力を込めた。
自分が何をしているのか、分からない。何をしていいのか、分からない。どうしよう。孤独の涙は止まらない。どうしよう。
もっと、強く?もっと強く。
孤独は私にされるがままだ。止めたいの、止めたいの。どうしたいの。このままじゃあ、孤独が。
孤独が、死んじゃう。止めてよ。
孤独、私を突き放して。お願い。
「孤独、孤独、」
涙を流す孤独の首を、思い切り絞める。
孤独の顔に、私の汗がぽたぽたと垂れる。焦点が合わない。膜が掛かったように、耳が上手く聞こえない。
だから、それに気が付かなかった。
瞬間、何かに体を突き飛ばされた。驚いたが、それだけ。私は床に倒れたまま、呆気に取られて何も動けなくなってしまった。
汗が止まらない。でも、平気。もう焦点は合うし、耳も聞こえる。
「桐っ! おいバカ! 何してんだ!」
私に駆け寄る人の後ろで、孤独が私の部屋を出ていくのが見えた。
どうして、逃げちゃうの。私が、悪いんだよね。卓と会ったから。孤独のことを、少し忘れてしまったから。私が、悪いんだよね。
良かった。私から、逃げてくれて。
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