複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.51 )
日時: 2012/06/29 20:44
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)



+27+


私の肩を掴んで、必死に意識を確認する彼。
そんな彼に、声を掛けた。

「……ぁ、ぅ」

筈なんだけど。ダメだ。やっぱり上手く喋れない。
私、混乱してるんだ。孤独に否定されたから。私は悪くないって、そう言って欲しかったのに。これで、終わりだろうか。孤独は私のことを、嫌いになったのだろうか。

彼は、心配そうに顔を歪めて、私を起き上がらせて壁に凭れ掛からせてくれた。大分、楽だ。
そして、コップに水を汲んで私の口に持ってくる。私はそんな気分じゃなかったから、首を振った。

「……桐、俺が誰か、分かるか?」

多分、私の意識が朦朧として居るのを、相当気にかけているようだ。全く、お節介な人だ。私の心が壊れて、精神が不安定になっても、クビにしないでくれた。この人にはとても感謝している。

「……てん、ちょー」

私が店長のメガネに指を押しつけながら呻く。
店長は私の手を優しく包んだ。メガネを外して、私の指紋を拭きながら安心したように笑う。
あぁ、この人の笑顔、なんか安心するんだよなぁ。自然で、すごく落ち着く。

「そ、君等の店長、小片辰臣。君の味方だから、大丈夫だよ」