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複雑・ファジー小説
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.58 )
- 日時: 2012/07/07 16:12
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)
+33+
「た、つ、お、み」
一文字ずつ区切られた俺の名前。俺は顔を上げた。見ると、傘を差した築が入口に立っていた。
「築、何してるんだよ。傘閉じろ」
図書室の入り口で傘を差すなんておかしい。室内だし。築は俺に従ってその淡いピンクの傘を閉じた。
外を見ると、雨が土砂降りだった。傘、忘れれば良かった。そんなことを思っている俺は、相当変態だ。だって、築の傘に一緒に入りたいとか、思っているわけで。
俺、キモ過ぎて引いた。でも、築って可愛いし。なんだかんだでいつもなんか俺に構ってくれるし。
「雨ですねー、雨です、辰臣」
意味が分からない。いつもより子供っぽい口調の築が、俺に近づいて来た。どことなく、そわそわしている。なんだろう。それを問おうとしたときに、外が光った。それとほぼ同時に、雨脚が強くなる。窓を叩きつける様な音。激しいな。
「あー、雷まで……」
俺が窓を見つめていると、ゴロゴロと遠くで音がする。
遠いな。なら全然怖くない。雷って、妙にわくわくするんだよな。
あ、また光った。
「っ!!」
は?と思わず言いそうになった。背中に温かいものを感じる。腰に腕が巻き付いている。築が、抱き着いているんだ。なんで。
小刻みに震える、指先。
え。まさか。
「怖い、のか」
「、うるさい辰臣。大人しくしていろ、辰臣」
震えている声に、俺はただ頷いた。
なんだか、頼られているような気がして嬉しくて、同時に、恥ずかしい。顔が熱い。多分、築も一緒だ。俺に抱き着くってさ。
もう、期待して良いのか。
これが、築の苦手なものを知った話。
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