複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.65 )
日時: 2012/07/13 19:17
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
参照: http://最近長くてごめんあそばせ



+37+


プリンを食べた後、桐はだいぶ落ち着いたようで、普通に立ち上がった。俺は、あえて何も聞かなかった。何があったのかとか、大体分かるから。多分、自分を必要としなくなった孤独を見て、桐が混乱したのだろう。そんなところだと思う。
俺は適当に冷蔵庫を開けて、軽い夕飯を作ってやった。いい上司だよな。ここまでバイトたちのためにする店長なんて、そうそういないぞ。
相変わらず、いろんな食材が綺麗に並べられている冷蔵庫。桐の趣味は、意外にも料理だ。これで、もっとまともな生活をしていたら、桐は幸せだったんだろうな。
桐は、付き合っていた男に振られてから、おかしくなった。いや、そいつとの付き合いを始めてから、おかしくなったのだ。そいつに捨てられないように、一生懸命で。
そう。
今の、孤独のように。

「あーあ、店長、どうしましょー」

いつもよりも、だらだらとした口調で言う桐。あぁなんだ、気持ちの整理は終わっていなかったのか。それを俺に悟られたくないのかな。まぁ、気が付かないフリくらいは、してやってもいいけど。
でも、俺は不器用だから。

「明日か? なるべく来て欲しいかなぁ」

本当は、来なくても良い。でも、ハッキリそう言うと、自分が必要じゃないとそう思ってしまうかもしれないから。今は、なるべく目が届くところに居てほしい。
桐が心配なんだよ。

「桐は優秀だから」

桐は椅子に座って、俺の手料理を食べ始めた。そんな桐のぼさぼさだった髪を、梳かしてやる。何かと世話を焼きたくなる。
なんだかさ、なんとなくさ、どこかがさ。

「店長のその笑い方、好きです」

築に、似てるんだよ。