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複雑・ファジー小説
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.67 )
- 日時: 2012/07/16 18:18
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
+39+
「おめでとう、って言ってくれよ、辰臣」
そう、言ってやらなければならない。
築は夏休みの間、俺の前に姿を現さなかった。ときどき図書室解放の日に学校を訪れたけれど、何時だって築の姿は無かった。
そして、夏休みが明け、新学期が始まり、あっという間に受験。
突然の、築からの俺と同じ大学の合格報告。俺も、合格。
築は早速、俺に自慢するかのように、その言葉をせがんだ。
早く早く、と築の目が俺を映す。そんな目から、俺は目を逸らした。そんなに、期待しないで欲しい。
「お、めでとう、築」
なんだか知らないけど、築の癖が移って、必要もないのに築の名前を呼んだ。
あぁ、そうか。これからも、築のことを呼べるのか。それは嬉しい。卒業したって、これからも、一緒なのか。嬉しいな。
俺は、俺は。
「ありがとう、辰臣」
築が。
これが、俺が俺の気持ちを認めた日の話。
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