複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.69 )
日時: 2012/07/20 20:15
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)

+41+


意外にも、店長の料理はおいしかった。
色々考えていたせいか、のろのろと食べている私を、店長はせかすことは無く、優しい目で私を見ていてくれた。
さっき、孤独との件が無かったら、店長が変態に見えていたかもしれない。

「ごちそうさま」

手を合わせてお辞儀をすると、店長が軽く笑う。
だから、好きだなぁ。店長の笑顔。なんでそんなに柔らかく笑えるのかな。

「はい、お粗末さまでした。……ねぇ、桐」

机の上に肘をついて、私を真剣な瞳で見つめる。
こんなに真剣な店長は初めてだ。
今日は何だか、店長の深部を、垣間見たような気がする。

「後悔、しないでよ。お願い。桐」

最後に私の名前を呼んで、店長は悲しそうに目を伏せた。

私は、まるで、俺の様にならないでくれよ、なんて言っているかのような店長に、不快感がして、たまらなかった。