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複雑・ファジー小説
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.76 )
- 日時: 2012/07/27 16:01
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
+47+
口の中の血はなかなか止まらない。生き残っていたコップで時々口の中をゆすぎながら、部屋を片付ける。その間忌屋はベッドに寝そべって、私の行動をずっと見ていた。
ベッドの上も酷い状態だったので、どいて貰う。
忌屋は意外にあっさりと床に座った。
引き裂かれたシーツを外して、ゴミ袋に突っ込む。枕は、もう駄目だな。というか、ずいぶんこの部屋の物が減った。綺麗に整頓されていて、落ち着いた部屋だったのに、残念だ。
「ねーぇ、おい」
振り返ると、座っているのにも飽きたのか、床に寝そべっている忌屋と目が合う。まだ、綺麗に床を掃いたりしていないから、ガラスの破片があるかもしれないのに。不用心な奴。
「何、どうかしたの」
「明日、お前暇?」
明日、か。別に暇だ。私は仕事には就いていないし。
まだ私はこの年にもなって、親の金で生きている。そろそろ何とかしたいけれど、仕事をする気にはなれない。
「う、ん」
「だろうね。ねえ、ボクと買い物行こう」
私の答えを聞いて、少しだけほっとしたような顔になる。
って言うか、私買い物行くつもりだったんだけど。家具が減りまくったし。忌屋1人じゃあやっぱり大変かなって思ってたし、忌屋が嫌じゃないなら普通についていくつもりだった。
まさか、忌屋から誘ってくるとは。
「お前の首輪も買わなくちゃ」
首を傾げる。忌屋の言っている事が、分からない。
そりゃあ、忌屋をまだそばで監視できるのは嬉しい。首輪も別に良い。
だけど。
私は、部屋の壁にかかっている赤い首輪を、指差した。
そこの周りの壁だけは、綺麗で傷一つついていない。
「あれで、良いじゃん」
私の指の先を見て、忌屋は私を睨んで、顔を床に向ける。そして、寝返りを打って私に背を向けた。
「……あれは桐のだから」
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