複雑・ファジー小説

Re: 思案中・つまり題名が決まっていないんだよな…ちらちら ( No.8 )
日時: 2012/06/04 21:27
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: ae8EVJ5z)



+7+


「先輩、まだ俺のつけた歯形、残ってます?」

家に来るなり孤独は私のTシャツを捲り、わき腹を眺めた。昨日のことだし、残っているのは当然なんだが。
昨日はお風呂に入るのが億劫になるほど、傷は意外にも深かった。
薄く、かさぶたが張っている程度で、完治はしていない。

「残ってますね! よかった!」

「何が」

満足そうに笑う孤独。
だが私は納得いかない。舐めるだけだと約束したのに、この嘘吐きめ。
そのうち泥棒を働くことになるだろう。もしかしたら私の部屋の物を、何個か持ち帰っているかもしれない。孤独なら、やりかねない。

「消えたらもう一回つけてあげます」

いやらしく舌なめずりをする孤独の頭を、軽く小突く。

「何言ってんの。別にいいから」

頻繁に噛まれるのを好むなんて趣味、私にはない。
そんな私の気持ちなんて分からないのか、孤独は顔をしかませた。
まぁ、分からない当然か。
……あれ。どうして、当然だって思ったんだろ。孤独のこと、私どんだけバカにしてるのかな。どれだけ、異常だと思ってる?
どうして、どこが、異常?

「……なんで? どうして? 俺の先輩なのに。俺の先輩。先輩、欲しくないの? 俺の、俺の」

あ。混乱しちゃった。めんどくさいな。
時々ある、混乱。まだ分からないけど、私がネガティブになるのと似ているみたいで、私に否定されたりすると、なってしまうみたいだ。
意味分からないな。孤独は私に、何を期待しているのだろう。

「ごめんね。でも、いらないから、本当に」