複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.81 )
日時: 2012/07/31 16:23
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
参照: http://友情出演。知っている人がいるだろうか



+49+


「店長と、桐さん、おはようございます。珍しいペアですね」

数か月前から入ったアルバイトの子が、私たちを見て、柔らかい笑みをこぼす。
そうじゃないんだよなあ。その笑顔じゃないんだよ。誰にも真似できないような笑顔を、店長はするんだよ。凄いよねぇ。
この子の名前、なんだっけかな。
確か、戸口とかなんだか。珍しい名字だ。

「おはよー。朝から早いね」

店長は私のことを軽く気に掛けながら、アルバイトに片手を上げる。アルバイトが、私の顔色を覗いながら、首を傾げた。

「あれ、まだ孤独さんは来てませんよ」

「孤独は今日休み」

は?
聞いてない。そんなこと、聞いて無い。初めて聞いた。
店長は、私を振り返らなかった。
いつもなら、申し訳なさそうな顔をしてくれるはずなのに。
申し訳ない顔。なんでだ。なんで、店長が悪いことになる。私に孤独の情報を伝えることは、店長の義務では無いのに。
私は、知りたかったのか。そうだよね。だって、私が泣かせたんだ。
私が無断で、孤独の気持ちを考えずに、卓巳に会ったから。

「桐さん?」

「……なんでもないよ」

そんなこと言うけど、孤独の気持ち、私聞いたことないじゃんか。