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複雑・ファジー小説
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.90 )
- 日時: 2012/08/06 22:19
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
+55+
やって来たのは少しだけ大きなデパート。ときどき家具とかを買いに来る場所だ。シンプルなデザインの家具を売っている店があって、気に入っている。
確か、卓巳に姿見を選んであげた事がある。最初のころは普通だったんだよ。普通の男女みたいな関係だったんだよ。それなのに。
私は卓巳だけの物でありたかった。ずっと、卓巳は私の特別だから。ずっと私の中で一番で居てほしかった。たとえ、卓巳の中で私が一番じゃなくても。
「桐、何を買うの?」
「店長、私と孤独が変な関係だってこと、知ってますよね?」
綺麗な明かりでいっぱいのデパートに入りながら、私は店長に問う。前を向いているから、分からないけど店長は多分、私をじっと見つめている。
驚いていそうだな。
「うん、まあね」
「孤独の新しい首輪を買いに行くんです」
店長はまだ、私を見ている。私に後悔をしないで欲しいと言った。
それで、その言葉を聞いて私が選んだ道に、店長は口を挟まない。そんな所も、店長の良いところ。店長について行って、店長を信頼する人は多い。私もその中の1人だ。
私も、店長を信頼しているよ。まるで、兄のようにさ。
「……終わらせようと、思うんです」
首輪が離れていく絶望感は、誰よりも、知っているつもりだ。
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