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複雑・ファジー小説
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.92 )
- 日時: 2012/08/07 22:30
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
+57+
「黒で良いかな」
「うん、良いだろ」
孤独なら、どんな物でも桐から貰えば宝物だよ。でも、それが別れを告げる物なら、どうだろうか。もっと真剣に考えたほうが良いかもしれないな。
「いつ渡すんだ?」
きっと、孤独は自己嫌悪に陥っているから、しばらくは桐の前に姿を現さないだろう。これは、確実だ。
それでも、俺は孤独を首にしない。自分から離れたいと思ったら辞めれば良い話。こっちから孤独は捨てない。孤独の判断に任せる。桐の時も、そうだった。桐は築に似ているから、捨てられなかった。孤独は、桐が大切にしているから、桐に必要だと思うから、捨てられない。
「うーん、孤独の家に行こうと思ってます。じゃないと逃げられそうだし」
想像したのか、桐の口角が少し上がる。その手には、皮でできた黒い首輪が大切に握られていた。孤独との日々を、思い出しているのだろうか。
桐と孤独の仲を、俺はよく知らない。興味が無かったと言えば嘘になるが、俺は桐と孤独なら大丈夫だと踏んだのだ。
でも、桐がまともになりかけているから、この関係は崩れようとしている。
桐が決めたんだ、選んだんだ。これは進化だ。
「その時には俺も呼べよ」
冗談交じりに言ったけど、本気。
もしかしたら、何てこと、あり得るかもしれないから。
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