複雑・ファジー小説

Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.94 )
日時: 2012/08/09 20:37
名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)


+59+


家具屋の前まで来て、なんかめんどくさくなった。どっと疲労感が来て、どうでも良いかななんて思った。
なんでボク昨日あんなに暴れたんだろう。なんであんなに荒んでたんだろう。後で面倒なことになるのはボクなら分かったはずなのに。冷静じゃなくなった人間って、怖い。
昨日、ボクはすこぶる機嫌悪かった。なんでって言われれば、桐にむかついたって事。後、桐にむかついている自分自信が何がしたいのか分からなくてイライラしたこと。後は、機嫌が悪いことを良いことに、コイツが畳み掛けてきたこと。普段は余裕に構えていて、コイツをいじめているから、仕返しのつもりだったのだろう。
ふざけるなよ。本当に。思い出したらイライラしてきた。
隣に立つボクより身長の低いコイツを見下ろす。
でも、なんでそんなことをするのに、今日はついてきたのかな。付いてこないのが普通でしょ。いつもいじめてるのに。
桐とは種類が違うけど、ちょっと似てるかもしれない。

「……あ、忌屋」

「はあ? 何?」

ボクが家具屋に入らないのをちらちら観察していて不思議がっていたコイツが、ボクの後ろの何かを指さした。眉間に皺を寄せて、気になるから後ろを向くと見たことのないケーキ屋があった。

「…………」

「行こうよ、忌屋」

見たことない。朝ご飯食べてないし、昨夜もまともに食べてない。お腹が空いている。
じっとケーキ屋を見つめるボクの袖を、コイツが引っ張った。

「私、行きたいなあ。忌屋」

「……しょうがないね」

コイツが。コイツが、行きたいならしょうがない。
仕方ないから、仕方ないから、行ってやろう。
別にボクは行かなくても良いけどね。