複雑・ファジー小説
- プロローグ ( No.2 )
- 日時: 2012/09/02 21:06
- 名前: 秋山レキ (ID: MrVVEkO0)
これから言うことは全て、俺『若月霧夜』に起こったことである。
気付くと空はだいぶ暗くなっていた。
冬は外が暗くなるのが早いなんてことを実感しながら、俺は教室から荷物を取り校舎から出る。
やはり冬場だからか外は肌寒く、学校に残り勉強をしていた俺の疲れを固めるようであった。
両方の腕で体をさすっていた俺は道を歩いていると、道の奥のほうに大きな光が現れた。
そしてその光は現れたと思えば急に消え、今度は小さな光が出てきてこちらに向かってくる。
俺はその場に止まりその光の中を見つめる。だが、その場に止まったのが俺の過ちであった。
止まった瞬間にこの光の正体が分かってしまったのだ。
そう、あれは・・・
「人?」
そう呟いたと同時に、細く長いものが俺の目の前に突き出される。
俺は腰を曲げ、顔を狙ってきたものを避ける。そして曲げたと同時に人らしき者の腹を片足で蹴り飛ばす。
あぶねぇ。そして分かった。小さな光の正体は刀だ。刀が俺の顔を狙ってきたんだ。
だが、まぐれで腹に蹴りは入れられた。しばらくは立てないだろう。
しかし、状況が読めない。だが考えている暇などない。
よし、今のうちに逃げよう。と、俺が背中を後ろに向けたとき、その場でうずくまっていた人らしき者は再び刀を強く握る。
「若月霧夜ぁ〜。やっぱりてめぇを、ぶっ殺す!!!!!!」
少年のような声でドス黒いことを言い、しばらくうずくまっている。
ヤバイな、思ったより回復が早い。今のうちに近くの交番まで行くことは不可能だ。
全くどういうことだ・・・?急に光が現れたと思えば無くなり、また小さい光が出てきたと思えば今その小さな光に殺されそうになっている。
おいおいおい。さすがに万事休すだぞ・・・。さっきはまぐれで腹に蹴りを入れれたが、二度も奇跡は起こるはずは無い。
仕方ないこのまま逃げよう。校舎の中に入れば先生たちもまだいるはずだし、何とか生き残ることは出来る。
そのうちに俺は家に帰り、万事解決だ。
・・・いや、や〜めた。あの少年?から逃げる気も倒される気もなくなった。それに、先生たちを巻き込みたくないしな。
ならどうすんだって?決まってんだろ。
あいつをぶっ倒すんだよ!
「今のうちに遺言は見つかったか?若月ぃ!もう俺は待ってやんねぇぞぉ!」
そう言いながらその少年は立ち上がり、俺のほうに刀を向けて言った。
「そんなもん考えてねぇよ!その代わり、お前が考えるべきじゃねえのか?」
「てんめぇ・・・。俺をコケにすんのもいい加減にしろよ・・・!」
「分かったそうする。てめぇをぶっ倒してからなっ!」
「ほざいていられるのも今のうちだぜ!若月ぃ!」
そう言って俺のほうへと走ってきた。
さてどうしようか。作戦考えてなかったぞ。
とりあえず相手を怒らせることは出来た。だからあとは持ち前の反射神経で避けるだけだな。
さぁ来い!
俺も相手に向かって走る。だが、
「ぐわっ!」
なぜか何も無いところで転んでしまった。やばいと思いアイツのところを見ると笑っていた。
まさか、あいつが?いや出来るはずが無い。あいつは人間だ。
いや、今はそんなことを考えている暇は無い。俺はもう終わりなのだから。
「キャハハァ!まんまと引っかかったなぁ若月ぃ!?これで・・・終わりだっ!」
あ〜あ、逃げればよかったなぁ〜。17歳で幕を閉じるのか〜。なんだかんだで、楽しかったのかな〜俺の人生。
さて、コレでおしまいか。俺は。
あいつは刀を振りかざし、俺の頭を狙ったその時。
そうその時、俺の目の前にさっき見た大きな光が現れた。
何だこれ。俺を助けに来てくれたのか?
そんな訳ない・・・よな?
やがて大きな光が消え、俺の目の前にとある少女が現れた。
そしてその少女はこう呟いた。
「霧夜。助けに来たよ」
その瞬間、俺は言葉を失いただただ少女を見つめることしか出来なかった。
このとき、俺は一生後悔するだろう。
あの時あの約束は断るべきだったのだと。