複雑・ファジー小説

第二話 Your world was born part1 ( No.7 )
日時: 2012/08/31 21:19
名前: 秋山レキ (ID: jEYyPTNY)

「えっと……とりあえず許嫁の件は置いておくとして、一番聞きたいのはあの吸血鬼は何者でなぜ俺を殺そうとしたかだ」
俺はゆっくりと、だが聞きたいことを忠実に言った。
「んーと、あの吸血鬼は人間じゃないことは分かる?」
「まあ、なんとなくだが理解はした」
「それで、あいつは人間でなければ生き物でもないの」
「……?どういう意味だ?」
「突然かもしれないけど、私はこの世界の人間じゃない。それに、もっと言えば———」
すると、香夜は少しだけ間を空けていった。
「私たちは人間じゃないの」
ゆっくりと、そしてはっきりと、香夜はそう言った。
「あの吸血鬼も、そしてあなたと会話している私も」
「いや、いやいやいや。いきなりそんなこと言われて信じ込めるかよ!」
「でも、今日私はあなたの前にいきなり現れた。しかも、吸血鬼が現れたのと同じ光に包まれて———」
「だけど!」
俺は机をたたく。その振動でテーブルの上のお茶が揺れた。
「……だけどいきなりそんなこと言われても、なんというか事情が飲み込めないというか」
「分かった。なら———」
香夜はゆっくりと目を閉じ、覚悟を決めたようにまぶたを開いた。
「証拠を見せてあげる」
そう言って香夜は立ち上がった。