複雑・ファジー小説

Re: 【カキコ民】夢現の境界線【参加型!!】 ( No.25 )
日時: 2012/08/20 11:03
名前: 月葵(元フレイア ◆7a0DWnSAWk (ID: LqhJqVk8)
参照: 久しぶりの更新ですみません;







——自分の現実が、信じられなくなっていた。













——突然の妻の死、リストラ、多額の借金……たくさんの不幸が一度に起こった。











——……確かに俺は人と違うものがあった。けど、別に普通の生活をして、結婚もして……









——……幸せだった。なのに……










——なのに何故……こんなに不幸なんだ……!?











——理不尽だ……何もかも……









————クスッ……なら、壊せばいいの。そんなに辛いなら、壊せばいい。何もかもを。


    ほら……ここにはあなたの嫌いな能力者たちがいるわよ……?









——悪魔の声か……? ……いや、そんなものはいないはず。







————信じる信じないは自由よ。でも……



























              ……スベテヲコワシタクナイノ?



























——ぉ…………俺は…………っ!!







       また一人、闇に堕ちる。


                 暗闇に、少女の囁き。




            彼女は舞う。誘うために。




        「境界」へと、導くために。















〈第三話:侵入、撃退、歓迎会!〉

Re: 【カキコ民】夢現の境界線【参加型!!】 ( No.26 )
日時: 2012/09/05 12:03
名前: 月葵 ◆7a0DWnSAWk (ID: Z0yvExs9)
参照: 再試(勉強)のために遅れましたごめんなさいぃぃぃ!!

——食堂


「……なぁ美形眼鏡君こと京君、キミさ、何か気付いたみたいだけど?」

急に後ろから声がしたかと思えば、赤米だった。

あ、視点は俺、青谷木 京。
珍しいオリキャラ視点だ。これから増えるらしい。よろしく。

「……前半が余計だよ、赤米。……言うべきか迷うかもなぁ。俺の能力で転入生を視たんだけど……」
「うん? 確か『生の透視』……だっけ?」
「あぁ……視えないんだ。柊が今、学院内を案内してるのは分かるんだけど、それから先がほぼ真っ白だ。まるで……選択次第で未来が変わるような」
「マジで……? けど……ただの不調じゃねえの? ひっちゃんとかよくあるしさ。それより転入生が来たってことは『歓迎会』だよな!」


意気揚々と、皿におかずをどっさりとった袈ヶは、話題を変える。

因みに、食堂は朝食以外は全てバイキング形式であり、取った重さで料金が決まるんだ。
でもって俺は850円。結構食べる方かもな。


「そうかなぁ? まぁ、いつか分かるかもしれないけど」


本当はかなり気になるが、分からないものを考えても仕方がないだろう。

「焦ることなしなし。ま、何かあったら俺ら全員で考えようぜ?」

チャリーン♪ と音がすると『8450円』と表示される……って俺の約十倍か!?
赤米の『無限空間』……恐るべし。


「一体……何の話してるのよ?」


ホープが、トレーを片手に介入してきた。
もう食べ終わったらしい。皿は空っぽだ。

「ホープっちか。転入生の話題だぜぃ」
「ふぅん、実は聞いてたけど、確かに変ね」
「……あれ? みんな何してるの?」

話しかけてきたのは蒼。傍に誰もいないところを見ると、1人だったか。

「今度は蒼か。あ、『音集め』でさ、転入生のこと何か分からねぇか?」
「う、うん。やってみるよ袈ヶちゃん……」


確かに今なら、先生達が話してる可能性もあるかもしれない。


「……あ! 今、それどころじゃないと思うっ……!」
「どうしたんだ?」


袈ヶが問うと、あり得ない返事が返ってきた。


「——犯罪者が、さっき侵入した……! しかも、先生には気付かれてないよ!」

言いようもない戦慄が走る。

悠乃と転入生、それにもう食べ終わったらしい鳳やハル達……この場にいない人は知らないだろう。

「いいい、急いで学院専用の携帯電話で報せないと」
「落ち着け、蒼。聞こえた場所は?」
「実は…………寮の近く……」
「ってことは」




————パァンッ!




袈ヶがそう言い終わらないうちに、銃声が聞こえた。


そう。寮の近く……つまりは、食堂に近いってことだ。



「動くなっ! 動いたら殺すぞ!」


……ヤバい。
銃は拳銃。覆面を被っていて顔はわからない。


「俺達だけで、何とか出来ないか……?」

無謀にも等しい一言を呟くが、3人はなにも答えず、静かになった食堂で……今はただ立ち尽くすしかなかった。




Re: 【カキコ民】夢現の境界線【参加型!!】 ( No.27 )
日時: 2012/10/15 23:11
名前: 月葵 ◆7a0DWnSAWk (ID: t3n5DtaJ)
参照: 更新久しぶりすぎてすみません……(; ;)

——高等部校舎一階 廊下


「ぐ〜……なんちゃって」

「……」


てへぺろ♪ とか言って笑かそうかなと若干尽力しちゃってる寮長、柊悠乃。
対するは無口・無表情を徹する少女、来栖水桜。

視点はもち、悠乃です。
だってさ、寂しいじゃん! なんかさ、こう……一人で喋る悲しい子になりつつあります……

「えっと、まぁとりあえず、今から自販機の説明と、職員室の場所と、支給品の携帯端末について説明してからご飯にしようね! あとのことは追々説明するし……」
「……うん」

コクン…と頷く水桜ちゃんに取り敢えず笑顔を向け、それじゃまずは近くの自販機だ〜! と意気揚々に行進し始めた。






「……あ! ホー……違った、幽助君!」


遠くだとホープと間違いそうなんだよね……パーカーのフードで顔隠してるのが同じだし……


「悠乃さん? ……あぁ転入生の案内ですか」
「うん、で、何してたの?」


見たところ自販機で何か買おうとしてたらしいし。


「飴玉が切れたから、買っとこうと思ったんd「それ、ゆっくり実演してくれないっ!? 説明しやすいからさ!」
「え、あ、いいですよ?」

意気込んで頼む私に、若干気圧された幽助君は、それでも了承してくれた。
あ、そーいや、途中で遮っちゃってごめんね?



「説明始めるよ! えっと、まずはね。自販機にパネルがあって……」


自販機の正面に幾つか商品の名前と値段、実物の写真が載っている。


「欲しいものがあればタッチ!」

幽助君はパネルを操作し、ある場所を触る。
パネルの詳細が写し出される。


「欲しいものの個数を確認して、リストバンドをかざすの」

チャリーン♪ と音がし、『500円』と表示される。……飴の袋は一つ100円なんだけど買いすぎじゃない? 幽助君……

「これで商品が出てくるよ〜」

ドサッ×5と音がしたので、取り出し口を開けると『甘〜いシュワワソーダ飴』が出てきていた。


……そういや、幽助君は確か、甘党だったね。


「これで終わり。質問はある?」
「あ、悠乃さん。この前、チョコバーを買おうとしたら、何故かピコピコハンマーが出てきたんですけど……」
「何故にピコハン!? う〜、こういう機械の不具合とかあれば先生に申告するっていうのも寮長の仕事なんだよ」
「……はい」


コクンと頷く水桜ちゃん。


「で……そのピコピコハンマーはどうしたの?」
「勿体無いし、理事長が欲しがったのであげました。」
「何故ですか理事長……」

子供しか喜びませんよそれ……、ていうかなんでピコピコハンマーが自販機に入ってるんだろ。


「理事長……?」


水桜ちゃんは首をかしげる。
あ、なんか可愛い。


「あ、知らないか。この東雲学院の理事長……『音影 氷夜(おとかげ ひょうや)』って人だよ。……ま、噂で『本当の姿は子供』とか『実は幽霊で夜な夜な歩き回っている』とかあるけど、私は嘘だと思うよ!」
「何で?」

今度は幽助君が疑問符を出した。
ていうか噂……信じてたのね。

「幽霊だったら私たちには見えてないから! 以上!!」
「……うーん……」

うん、まぁ、説得力無いと思ったけどね。
能力によっては実体化とかできるかもしれないし。

「……ま、とにかくお腹空いたね。幽助君はお昼ご飯食べたの?」
「まだ。……最近お菓子食べるのに忙しくてお腹空いてな…」
「ちょ、健康管理はきちんとしようね!? お菓子ばっかり食べたら駄目!」

炭水化物ばかりだと身体壊すって!
一汁三菜は基本だよ〜!


「……悠乃さんってお母さんみたい?」
「あのね……私は寮長だってこと忘れてない?」





——その時だった。





——パァンッ!!






「じ、銃声!?」
……っ」
「寮の方から聞こえた。今、かなり人がいるんじゃないかな……」


冗談じゃない……なんで学院内に犯罪者が……?





……考えても仕方ない!




「幽助君、急いで『加速突破』で走って職員室に知らせて。水桜ちゃんは危ないから、教室に戻ってて」
「悠乃さんは!?」


私は……決まってるよ。


「食堂に……向かう。大丈夫だよ、能力使って回避できる。それに……」
「それに……?」


水桜ちゃんが首をかしげる。

「皆は……家族は、守る。皆は私にとって、家族だからね」


もちろん水桜ちゃんも家族の一人だよ、と微笑むと、水桜ちゃんはそっぽを向いた。


あれ? 何か私、間違った?


「分かった。悠乃さん、気を付けて」
「うん、ありがとう!」




よーし、食堂に向けて全力ダッシュ!


その時の水桜ちゃんの表情が、ほんの少し笑っていたのを、私は知らなかった……