複雑・ファジー小説
- Re: 【カキコ民】夢現の境界線【参加型!!】 ( No.7 )
- 日時: 2012/08/02 10:39
- 名前: 月葵(元フレイア ◆7a0DWnSAWk (ID: LqhJqVk8)
- 参照: やっとこさ!
〈第一話(現実世界):転入生と持ち物検査!!〉
国立の教育機関として存在する『東雲学院』。
この学院には、年に2、3〜5人の割合で『特殊能力者』が転入してくる。
全寮制のため、卒業して社会に認められるまで家族とは離れるし、勉強は、社会に生かす能力の育成のためのカリキュラムで組まれている。
また、200年の伝統ある学院のため、設備は充実している。
ちょっと問題点(?)というか……そんな機関であるからか、どうも個性的な人達が多い。
東雲学院高等部の生徒も、その一部である。
チュンチュン…と小鳥の泣く声が聞こえる朝。
東雲学院の朝はいたって騒がしい。
「こら袈ヶちゃん、いくら嫌いな食べ物が出たからって地雷とか出さないの!」
発言者である私、『柊 悠乃』は高等部寮長である。
そんな言葉が出たのは……なぜならその通りの出来事を見過ごすわけには行かないに決まってるから。
袈ヶちゃん(おねーさんとも呼ぶけど)は朝御飯が不味かったみたいで、どこからともなく地雷を取り出した、で、ぶっ飛ばしたついでに『無限空間』っていうなんでも食べれちゃう能力使って、食べようとしたんだよね。
「こんなに不味いなら何も考えずに食べればよかったー!」
短い黒髪の袈ヶちゃんは、燃えるような赤い目をして髪の毛で隠されているが、表情から不機嫌きわまりないよう。
「だからその地雷を設置しないでー!! 食堂全体が消し炭になっちゃうから! ちょっと誰か袈ヶちゃんを止めて!!」
「朝っぱらから寒い……体が動きにくいから無理。」
答えたのは京君。
彼は寒がりだったりする。真夏でも「寒い寒い」だって。
「確かに、今は春だけど寒いときもあるよね……ってそうじゃないから!! 寒いからって……袈ヶちゃんを止めるのと話は違うよね!?」
「あーもう、ウザい五月蝿い鬱陶しい。3U揃ってかなり苛立ってんだけど?」
小学生みたいな身長でふとみたら可愛いんだけど、更紗ちゃん……私を睨まないで? 怖いから……
「……あ! そだ! カナエちゃん、『現状維持』でどうにかならない?」
こんな状況でも大人しくチョコレートを食べながら、何かすごい機械をいじってるカナエちゃんに頼んでみる。
……ってカナエちゃん、朝御飯が残ってるけど?
「今、忙しいよ。」
そ、そんなぁー!
「よっしゃあ! 特殊地雷、爆破!!」
ってそう言っている間に爆破しないで——っ!!
————————————カチッ。
不吉な音が響いた。でも、爆破……してないね?
「ふ……不発?」
「柊、赤米はただ、慌てるあんたが見たかったらしいけど?」
ちょっと更紗ちゃん、それは、
「早く言ってよ……」
「興味ないから別に言っても言わなくても同じでしょ?」
「わりぃわりぃ。いつもと違う朝にしたくてさ。不味いのも嘘な」
けらけらと笑うおねーさん。
「おねーさん……いろんな意味で大変だからほとほどにね」
とその時。
チチチチチ…………
あれー、なんか変な音がするよー?
「ねぇ……おねーさん? これってどういう」「ゆーちゃん、これ時限爆弾……かな?」
自分で設置するなら分かってて!
「みんなは伏せて——!!」
私は爆弾(ていうか地雷)を抱え、寮の外に出た瞬間だった。
チカッ! と光るのが分かる。
自殺行為に等しいことをしたけど、ここで主人公が死んだらどうなるの?
「くっ……『危機回避』っ!」
ブォォォォ……と結構大きい風が起こり、私は地面に叩きつけられた。
ガッシャァァァァン!! と、まぁ本当の不吉な音が学院全体に響いたのは言うまでもない。
……私は無事だよ。でも、高等部校舎は無事じゃないからね!!
「悠乃ちゃん、大丈夫……?」
心配して来てくれたのは、蒼。
って……蒼以外いないって、皆は薄情者ですか!?
「うん、私はへーきだけど校舎は半壊。これ、寮長としての責任が問われるなぁ、きっと。」
まぁ、これは日常茶飯事な訳だね。
そーして爆風で教室が滅茶苦茶になったとさ。←棒読み
その結果、自習こと掃除になった。
みんなを爆風から守った私の成果……別に嬉しくないけど……。
誰も怪我はしなかった。無論私も。
『危機回避』……ここまで書いたら無敵のように思うよね?
もちろん欠点はあるよ。でもまたあとで。
で、只今高等部の皆で大掃除をしております。
……何人かは既に離脱してるね、うん。
誰だろな〜。
えっと、矛口君に、ホープ——あ、希望ちゃんね。あと勇太に、更紗ちゃんかな。
……って、半数いないしっ!
「ねぇ悠乃ちゃん、転入生の話、知ってる?」
小声で突っ込みそうになっていた私に、おずおずと話しかけてきたのは、さっきも来てくれた蒼。
彼は些細な音も聞こえる『音集め』の能力者。
実は今日、他所の学校から転入生が来ることになっている。
…………うーん? あれ、何か忘れてるような……
「あ、うん、まぁ一応。先生から言われてたから……
あぁ————————————っ! 忘れてた!!」
寮長としてのお仕事。
『新しく来た転入生に、学院を案内すること。』
今朝の騒動と、忘れっぽい私の性格が原因で、完全に頭から切り離されてた……
「えぇっと、あ、いた! ホープ!!」
目的の人物を探しあて(幸いにもホープは教室の外にいたから)、急いで走る。
「何よ?」
不思議そうに見るホープ。
「ごめん今日転入生が来ることになってたの忘れてたから教室の掃除お願いしますっ!!」
「やらなきゃいけないのー?」
チリン……と腰についてる鈴が印象的なホープが、めんどくさがりなのは重々承知済み。
「ごめん。でも本当に急がなきゃ!!」
「……仕方ないなぁ。後で喧嘩しても黙認してね」
「そ、それは」
ちょっと……とか言いそうになるのをグッと堪える。
うん、だって忘れてたのは私だもんね。
いや、でもやっぱり喧嘩は黙認できない!
「……考えとく」
「ありがと」
ホープは私から箒を受け取り、手際よくガラス片を片付けていく。
……黙認する訳じゃないからね?
職員室は結構すぐそこ。
爆破された教室の、反対側の廊下を走っていく。
この角を……曲がるっ!
——そして曲がった瞬間、誰かにぶつかった……
- Re: 【カキコ民】夢現の境界線【参加型!!】 ( No.8 )
- 日時: 2012/08/02 10:40
- 名前: 月葵(元フレイア ◆7a0DWnSAWk (ID: LqhJqVk8)
- 参照: 続き〜。
——そして曲がった瞬間、誰かにぶつかった……
……えっとさ、お決まりはアニメだけにして欲しかったよ。
「うぁ! ご、ごめんなさいっ! 急いでてつい……」
必死に謝る私。
なんと相手は、昨年の『寮長争い』の時にいた男子生徒だった。
あ、でも……顔だけ分かって名前は分からないや!
ただ、この子はその、評判が悪い。いわば『ヤクザ』……みたいな?
まぁ喧嘩好きのホープにかかれば、どうってことないんだけど! 実際負けまくりだし。
それに今は停学中のはず……?
「何しやがんだてめぇ、せっかく良いカモを見つけたのによ」
「はぁ……ん、もしや転入生!?」
男子生徒が襟首を掴んでいる人物こそ、(多分)転入生だ。
「君、暴力はふるっちゃダメ!! 寮長として、見過ごせません!」
「はん、寮長気取りか? ただ俺はこいつに世の中を教えようとしただけだ。邪魔すんな」
「あのね、気取りじゃなくて、実際寮長だから。それにアンタが教えるならこの学院は要らないでしょう……何のためにあると思ってんの!」
「るせぇっ!」
男子生徒は怒りにまかせて私を殴ろうとする。
だが、……拳は、私の顔面より少し離れて止まった。
「……ちっ、『危機回避』は厄介だ」
「へー、もう終わり?」
「なわけねぇだろ!! こいつで……」
男子生徒が何か後ろに投げた。
何だろう……っ!?
「ま……麻酔針って……卑怯……」
対犯罪者用グッズの『麻酔箱』。
生徒が買うのは禁止されてるのに……
ドーム状の黒い箱に、速効性の麻酔針がセットされている。
箱っていっても機械だから、敵を認識すると自動で足とかに針を打つ。
そして、私の能力の『欠点』……それは『敵を認識したときに発動可能』。
敵は人でも物でも構わないけど、私が『危険』と認識したときだけ発動する。
死角からとか、急に攻撃されたら回避しにくい、てか出来ない……
「卑怯だろうが何だろうが、勝ちゃあいいんだよ!」
ザ・悪役お決まりの台詞かい。
でも声が出ないし、体も感覚ないしどうしよ?
あ、マイペースなのは長所だ長所。
うーん、早く転入生助けなきゃなんだけど……
——その時。
「おーいゆーちゃんダイジョブか?」
あ、おねーさんじゃないですかー! ダイジョブじゃないよ助けてヘルプミー!!
目線だけで訴えるしかない!
「ちょっとあんた、私が抱きつきたい子ナンバーワンの悠乃に何してるのよ?」
ホープ、嬉しいけど言わないで!? 恥ずかしいし何か誤解されそうだから!!
「蒼が何か争う声を聞いたらしいから来てみたが……刺激を得られそうだな?」
殺る気満々の矛口君……殺っちゃダメです。
あーもうっ! 声が出ないってなんかモヤモヤするーっ!
グイッ、グイッ……と精一杯私の体を移動させてくれているのは、あの転入生の女の子!?
騒ぎに紛れて脱出したみたい。
「……ありが、とう」
女の子は小さな声で呟く。
黒髪を下で左右二つにくくり、悲しげな黒い瞳。
いえいえ、どういたしまして、ブイッ!
声は出なくても、視線で伝わるといいなとか思ってた。
そのあと、あのヤクザな男子生徒は全治6ヶ月の怪我を負い、更に「家に帰りたい」とホームシック状態にまで陥ったらしい……
また、対犯罪者用の道具を持っていたため、全治期間にプラスして二年間停学、監視付きで生活することになったよう。
めでたしめでたし…………ってちょっと違うから!!
「……やりすぎ、だよ、ホ、ント。ホー、プ、腕、折、りすぎ。む、くち君、満足げ、に、タバスコ、お菓子にかけて食べないっ」
「はるちゃん、悪いけどさ、説得力に欠けてるよ」
かすれ声だしね、うん、分かってるカナエちゃん……
「けど、いわな、きゃ、モヤモヤするのっ!」
かすれ声で訴える私を見た、保健室の『和水 理依(なごみ りえ)』先生は、艶やかな黒髪をツインテールにした幼稚園児みたいな体型に、無邪気そうな笑顔を重ねてこう言った。
「クスッ、柊さん。『かなり痛いけどすぐに声が出る注射』と、『痛くないけど数分後、腹痛が3日続く注射』のどっちがいいかしらねー?」
即、紙に筆記した。
——はい、痛いの我慢します耐えますともえぇ腹痛は辛いから。
備考。理依先生の通称は【魔女っ子Sの『療法者』】
略せば【S(サディスト)セラピスト】ね。
治すのは一流だけど、サディストな性格だから、この人……
あ、魔女っ子なのは意外にコスプレしてるから。
今日も黒の魔女帽子に、手に持っているのは杖……ではなくなぜか『異様に太い注射器』……?
激痛に悲鳴を上げるの約15分。
沈黙が1〜3分。
やっとこさ教室にたどり着くこと……12分。
全く、何で保健室の場所は校舎から10分かかる距離なんだろ……?
—大講堂
教室って表現するには広いからねー。無駄に広いよ。
あ、教室に入る前に制服についてるエンブレム(校章)で出席確認してから入るんだ。
————ピッ。
名前と顔写真がパネルに表示されるのを確認して、扉を開ける。
「ただいまー……」
「おつー、悠乃。」
晴樹が机に突っ伏してた。
珍しいね、いつもはグラウンドで走り回ってるのに?
「ありがと……う、わ! 風臣!? それで遊んじゃ駄目! 没収!!」
まず、風臣がエアガン(BB弾入り)でそこかしこに撃ちまくり、
「袈ヶちゃん、何また地雷を出してるの!?」
「おー? 転入生くるって聞いたからよ、派手にやろうとな」
袈ヶちゃんは地雷を複数個設置。
「ホープ! 京君! ゴム弾と傘で野球しないで!? 更紗ちゃんは彫刻刀投げるの!?」
「あ、やっと帰ってきたわね」
「体を動かせば……暖かくなるかと思ってな」
「……投げるものがないからこれ、ってこと。」
「蒼や勇太達は何もしてないからともかく……全 員 一 旦 す わ り な さ い !!」
教室に戻ろうとしていた転入生の女の子が、私の声にかなり驚いたのは言うまでもない。