複雑・ファジー小説

ふざけ過ぎた結果がこれだよ! ( No.38 )
日時: 2012/08/03 10:52
名前: ジェヴ ◆hRE1afB20E (ID: DSoXLpvQ)


<※これは本編ではありません>


「……最期に一つだけ聞いとくが、お前はどういうつもりだったんだ?」

——たった今自分が目の前で屈服させたその人物に、俺はそう冷たい声を投げかけた。
『う、ぅ……』
茶髪のその人物は、うめき声をあげてウズクマっている。しかし、そんな奴にも俺は容赦はしない。何故ならコイツは、やってはならない事をやらかしてしまったからだ。
「さっさと答えてくんねーかなァ、俺も暇じゃねーんだ」
『…………』
俺はソイツに見せつけるように剣を弄んで見せるが、ソイツは地面を睨んだまま歯を食いしばる一方だ。恐怖を感じでいる、が、それと必死に戦っているように見えた。
(……成程、根性だけは大したもんか?)
俺は苦笑に近い笑みを浮かべると、ソイツの側でしゃがみこむ。そして手に持つ剣を相手の首にわずかに触れさせてみると、ついにソイツは顔を真っ青にしてガタガタと震え始めた。
こうなればコイツが白状するのも時間の問題か、と、俺はさらに追い打ちをかけるようにこう言う。
「話す気はねぇ、ってか?……けど無駄だぜー?俺気ィ短いから。首、落されたくねーならさっさと言え」
それが決め手となった。ソイツはゆっくり顔を上げこちらを向くと、どこか懇願するかのような——訴えかけるような眼差しを向けてきた。そして震える唇を微かに動かし、ようやく言葉と言う言葉を紡ぎ出した。
『止めてください……マジで』
「——じゃあ答えろよ、お前がどういうつもりなのか」
『それ、は……』
そう言って、また俯こうとしたソイツに——俺は無言で剣を押しつけた。その瞬間、下がろうとしていた顔は凍りついたように止まり、ついにソイツは冷や汗を流し息を荒げ始めた。
身の危険を、今頃になって理解し始めたらしい…図太い神経と言うか、自分の事をまるで他人事のように捉えているというか。その考えはいつか自分の身を滅ぼす事になるぞ、と心の中で言ってやった。

…まぁ、そのいつかというのが、たった今のことなのだが。

そしてついに観念したのか、ソイツは生唾を飲み込んで俺の方をキッと睨みつけた。

そして意を決してソイツは、確かな口調で、いや……むしろ開き直っているように聞こえなくもないような言い方で、俺にようやくこう言ってみせたのである。


『お……おまけの単発小説書いて何が悪いんですか!』




【第??話:メタい話】 ※本編とは一切関係ございません?




『そうだよ、別に何も悪くな……ブッ!?』
俺は屈服しながらも堂々と述べたソイツ——ジェヴとかいうこの小説の作者とらやに、思いきり蹴りを喰らわせた。いや、この場合奴の頭を踏んだと言った方が正しいだろうか?
とかく、ジェヴの鼻が地面に叩きつけられ顔を上げてみると——鼻から鼻血が垂れていた。俺はそんな悲惨な事になっているジェヴに対しても容赦はしない。
「大体なぁ、全然素性が明らかになってねーだろ、俺もレイラも、れからその他諸々も——」

「『その他諸々』、というまとめ方はしてほしくない」

と、俺の声を遮って、ゼンが不服そうな表情を浮かべながらそう言った。お前いたのか。
俺は思わず苦笑を浮かべる。本編でもそうだが、ゼンはいつの間にかそこにいたりするから怖い。
「……とにかくだな、こんなクソ中途半端な時におまけ話なんて書くもんじゃねーよ。せめて1章終わってからだとかだな、タイミングを計って……」
『いいじゃねーですか、何かちょっと更新する気分じゃなかったし』
「じゃあやる気ある時に書きゃいいじゃねーか」
『今はおまけかきたい気分なの!』
「……いいぞ『剣士』、俺が許可する殴っていいぞコイツ」
ゼンがそう言ったので、俺はジェヴを殴った。すると漫画みたいに大きくたんこぶをつくったジェヴが、涙を浮かべながらピーピー喚きだす。
『い……いーじゃんか自分の書きたいように書かせてくれても! 大体、作者に楯突く事がどーいうことか分かってんですかコラァ!』
「どういう事だよ?」
俺は不敵な笑みを浮かべてジェヴに問ってみせた。すると強気な口調で、拗ねたように頬を膨らませそっぽを向きながら、ジェヴは言う。

『極端な話、神に刃向った事と同じなんですよ』

「…は?」
「神?お前が?」
あ、駄目だわ。この作者頭のネジ取れてるわ。
俺とゼンはその言葉を聞いて、若干引きつつ苦笑を浮かべる。本気で言ってたらアホだコイツは。それに、よりにもよってコイツが神って…
「…ブッ、うはははははwwwおま、神だってよ神wwwwwwwww最ッ高wwwwwwwwwwwwwwww」
駄目だ、笑えてくる(爆笑)
それを聞いてショックを受けるジェヴに、さらに追い打ちをかけるが如くゼンが言う。

「可能性があったとしても、神じゃなくカビか何かの間違いじゃないのか」

『んなっ……!?』
予想以上の毒舌っぷりに心が折れたのか、ジェヴは無言のまま地面に手を付けガックシポーズとを取っていた。
だが、ついに何かの糸が切れたのか—
『くく……うっくっくっく、うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!』
急に肩を大きく揺らして笑い始めてしまった。あーあ、メンタル弱いからぶっ壊れるのも早いか。と、俺は思っていたが案外そうでもなく。

『あーはいはい分かりましたよカビですよ。カビ様の力見せてやりますよよく見てやがってください』

そう言って懐からノートパソコンを一台取り出した。
(!?)
俺はその光景に目を丸くした。待て、その大きさのもんどうやってそんなところにしまってたんだ!?
その気持ちはゼンも同じらしい、腕組みをしながら固まってしまっていた。

と、そんな俺達を余所に、ジェヴは素早くパソコンを立ち上げ、「メモ帳」のファイルを開く。そしてそこにジェヴは、こう打ち込み始めた。


”突然何の前触れも無くゼンが「何か」に足を取られ転倒する。”
”続いて『剣士』はそうはいくかと足を踏ん張るが、その「何か」が頭にブチ当たりそのまま飛ばされ倒れこんだ。”


「……何だこれ?」
『いつも小説書くときに使ってるソフト』
「そうでなくて、何書いてんだ? って話。まさか本当にそうなるどでも思って——」
”いるのか”、と言おうとした瞬間、何かに足を取られたかのように、隣のゼンが突然尻餅をつきながら転倒した。吃驚してゼンの方を見ると、自分でも何が起こったのか分からないと言う風な驚きの表情を浮かべている。

——あ、これはヤバいパターンのやつだわ、マジで俺もやられるパターンのやつだわ!
だが、俺は笑った。そうはいくか、思い通りになってたまるか!俺は倒れないよう足を踏ん張ってみせた、これで倒れるわけが無い。正面から来るのは分かってる、何が何でも倒れ———ブッ!?

…、それは不意だった。
俺が正面から来るとふんでいたそれは、まさかの後ろからやってきたのだ。前から来るとばかり思い身構えていた俺は、後ろから強い衝撃を与えられ容易に吹き飛ばされ倒れてしまった。それも、また一瞬の出来事である。

——まさか……
——まさか、そんな事があるはずが!?
俺は何度もそう思った。だが…実際に起こってしまった。
(……、あぁ成程)
俺は察した。
コイツは”これから起こる事を文字にする事で、それを実際にさせてしまう力”を持っているわけだ。
つまり神だ。
コイツには、神同等の力があるんだな。





『そんな感じで、私おまけ話書くから』
倒れながらうなだれている俺を、ジェヴがノートパソコンを片手にそう言って見降ろしてきた。
「……もう勝手にしろよ。で、どんな話書くつもりなんだ?」
なので俺は問う。

……せてめマシなものを更新してほしい。
俺がそう目で訴えると、ジェヴは小さく笑ってこう言った。


『……まぁ、大丈夫かな。ちょうど今書き終わったし』






【終われ/(^o^)\】