複雑・ファジー小説
- Re: アザラシと動物ランド、F!! 『プロローグ!!』 ( No.10 )
- 日時: 2012/07/10 11:29
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
------------この何も問題がなく、むしろ『平和』という、アバウトな言葉一言で、
また『日常』という、いかにも普遍的な言葉で片付けられるこの町は、
本当に、私たちが身近に感じるほど『普通』であった。
『この世界』が変化するとするなら、『相当の事』が起きなければ訪れない。
この場合の『相当の事』というのは、
ある日、いきなり隕石が落ちてきた・・・とか、
ある日、宇宙人に絡まれた・・・とか、
そんな『現実味がない』事ではない。
むしろこの場合の『相当の事』というのは、
ある日、違う国からの襲撃を受けた・・・とか、
ある日、地震によって多くの人が亡くなった・・・とか、
そういった『起きないとは断定できない事』である。
無論、見て分かるように、両方とも十分な変化だ。
前者と後者の違いを言えば、
それが世界に影響をもたらさないか、もたらすか・・・その程度だろう。
------------だが・・・今から話すことは、前者と後者、この混合体と言えるだろう。
もちろん、矛盾してる事を言っていることは分かっている。だがこれが事実なのだ。
今から起こる事は、『現実味がなく』、だけど『世界に影響を及ぼす』事なのだから・・・。
--------始まりは突然であった。
これまでの間、ある一人の少年は、
いつも通りに朝目覚めて、
いつも通りに学校に行って、
いつも通りに勉強して、
いつも通りに帰宅して、
いつも通りに一日を終えた・・・・。
『平和』。まさしくこの言葉を表しているような日常だった。
正確に言うなら、それが当たり前の人生。普遍的な人生なのだ。
が、少年の日常・・・その普遍的な人生は、
----------ある事がきっかけで、180度変わってしまったのだった・・・!!!
--------------------- 第一の冒険、『僕はアザラシになった。』 ---------------------
「パート1。」
少年の住む町は、いたって普通の町だった。
周りを見ればビルが沢山建っており、自動車の騒音が鳴り響く町だった。
道行く人もまた、普通であった。何か特別な能力を持っているわけではない。
否、無論見方の問題でもあるが。我々人類から見れば普通というだけで、
宇宙人から見れば我々は普通ではないのだから・・・。
また、普通というよりはむしろ平和すぎると言った方が正しいかもしれない。
---------少年の名は、『星野 拓也 (ほしの たくや)』。
言わなくても大体分かるだろうが、この物語の主人公である。
優しくて、真面目で、おっとりとした少年。。見た目もなんとなくだが、優しい顔つきに見える。
身長は160cm。体重は46㎏。年は14歳。
そんな中学二年生の彼には、この世界に特にこれといった不満はなかった。
つけ加えるなら、不満がなかったわけではない。
だけど、変化して変わるぐらいだったら、このままでいい、もう慣れたから、といった感じだ。
この通り、彼はこの『平和』に満足していた。
普通に納得し、変化など必要としていなかった。
だが不運にも、『変化』が来てしまったのだ・・・。
いや、不運と見るべきか幸運と見るべきかは人次第だが。
それでも変化を必要としない彼にとっては、迷惑極まりない事であった・・・。
その日も、彼は学校が終わると、いつも通り自宅に戻り、
母が手入れしてくれたフカフカのベットに寝転がった。
もはやこれが日課なのである。あまりにも同じ行動をしすぎて、下手をすればたとえ目が光を失っても、何の問題もなく日常を生活できるのではないかと思えるほど。
自分の身体がロボットのように動く。それぐらい同じ行動を繰り返しているのだ。
一日の学校生活を頭の中で振り返り、それが終わると、椅子に座って勉強を始めた。
なお、振り返ると言っても、対したことはしていない。
むしろ最近では、ただぼおっとしていると言った方がいいかもしれない。
なぜなら、振り返るほどの『変化』がないのだから。当たり前と言えば当たり前だ。
一時間ほど経ち、少し疲れた彼は、もう一度ベットに寝転がった。
机の上には数式をズラズラと書いたノートが見える。どうやら数学をしていたようだ。
星野は決して頭が悪い方ではない。むしろ頭が切れる方だと言っても過言ではない。
どちらかというと、勉学よりも推理みたいな、何かの問題を答えに導く能力に長けているのだ。
だから・・・というわけではないが、星野はかなり数学は得意な方だ。
理系が強い、という事は間違いないだろう。
しばらく天井を眺め、十分に休憩を取った後、もう一度勉強しようかな、と身体を起こした時・・・・・・・、
星野は思わぬものを見つけた。それこそ、今日一日で一番驚いた変化であった。
一つ、ポツンと置いてある、アザラシの人形を発見した・・・・・。
その人形は、その少年の二分の一ぐらいのサイズだった。
顔つきは、実物・・・というよりも、むしろアニメやテレビゲームに出てくるような、綺麗で可愛らしいものであった。
身体は新品のように綺麗な真っ白なもので、傷や汚れは一つもない。
少年は首をかしげる。おかしいな、こんなものは家になかったはずだが、と不思議に思った。
だが、もしかしたら、誰か買ってきたのかもしれない。
そう思って、少年はスッと、そのアザラシの人形に手を伸ばした。
さわり心地はよかった。少年は気にいり、何度も全身を撫でるように触る。
余談として言っておくが、実は彼はアザラシが大好きなのである。
なぜ・・・と聞かれると返答に困るみたいだが、好きなのは確かだ。
何度も何度も撫でてやり、まるで生きている動物のように、可愛がるように触っていると・・・・
---------瞬間、アザラシのぬいぐるみからのまばゆい光が彼の目に入った・・・!!!
「わッ・・・!!」
驚いた少年は、とっさに目を閉じる。
アザラシのぬいぐるみが放つ光は、どんどんまぶしくなっていく。
目も開けられないほどまぶしくて、星野はしばらく目をつむっていた。
だが、少年、星野は気付いていない・・・・・
少年が目を閉じたと同時に、
少年、『星野 拓也 (ほしの たくや)』は、すでにこの世界から消えているということに・・・・!!!