複雑・ファジー小説
- Re: アザラシと動物ランド、F!! 『皆様の名言、大募集!!』 ( No.34 )
- 日時: 2012/07/22 19:28
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
「パート3。」
-----------------レイリーの言う『属性』は、七種類あるのタイプがある。
『火』、『水』、『雷』、『氷』、『地』、『闇』、『光』。
これらの内の『闇』と『光』は、上位属性と呼ばれるモノで、この属性を持つモノは数えられる程しかいない。
この身体に宿る属性を使いこなせるか否かで、強さは大幅に変わる。属性の強さ、また使い方は動物によって違う。
属性の強さは『才能』、『経験』、『心の強さ』で決まる。
まぁこの中で、『才能』だけは生まれながらから決まっているものであるためどうしようもないが。
戦闘や日々の生活による『経験』、または何かの経験によって成長する『心の強さ』によって、属性の強さは大きく変わるのだ。
属性の使い方の事について例をあげるなら、例えばマッハ達について説明してみよう。
マッハの心に宿る属性は『雷』。
彼はその『雷』の力を足に集中させることで、脚力を向上させ、閃光のスピードを得る事が出来る。
彼の使い方はどちらかと言えば戦闘に特化したものではなく、移動に特化したものと言える。
今度はポッポを例にしてみよう。ポッポの属性は『火』。
彼女はこの属性の力を自分の身体全体に衣を羽織るかの如く纏い(まとい)、触れれば火傷ではすまないような攻撃力を実現させている。これは戦闘に特化しているものである。
最後にウリュ。彼女の属性は『地』。
この『地』の属性は、実は全ての属性と比べて、攻撃面に劣り、守りの面においては他よりも優秀という属性なのだ。
もちろん戦闘に特化させている動物もいるし、だからといって弱いわけでは決してない。
ウリュはこの守りに特化した使い方で、ウリュ自身は戦闘をすることはない。あくまでも仲間の危機を守る事に専念し、時には回復役として立ち回るのだ。
---------------見て分かる通り、たったこの3匹の動物達でさえ、ここまで使い方が違うのである。
そして・・・・星野君はと言えば、もちろん分かるわけがない。
そもそも自分が何の属性なのかも分からないのだから。属性の強さも使い方もへったくれもないのだ。
「星野君、君の属性を調べてみよう。チェリス、頼む。」
レイリーがそういうと、チェリスは、「ふふ…分かったわ。」と言って、星野君の目の前に立つ。
クジャクって間近で見るとさらに美しく見えるのだなぁと星野は感心した。今は関係ない感想なのだが・・・。
そしてチェリスは、自身の羽を大きく広げ、身体からうっすらと光を放つ。
もともとこの洞穴が明るいためか、チェリスの光は本当にうっすらとしか見えないが、光を放っているのは確かだ。
目を閉じ、そして何かを感じとっているかのように星野は見えた。
「・・・・終わりましたわ、王。」
そういってチェリスは羽を閉じ、放っていた光も消えた。
何が終わったのかは具体的には星野には分からなかったが、多分自分の属性が分かったのだろう、と考える。
レイリーは「どうだった?」と、チェリスに答えを求めると、
「『水』でしたわ。そして驚く事に、『才能』はかなりのものでしたわ。」と言って微笑んだ。
僕の属性は・・・『水』? 確かに今の僕はアザラシだから似合っているのかもしれないと星野は思った。
レイリーは感心したような顔つきで、そのあとすぐにフッと笑った。
「珍しいな。チェリスがそこまで褒めるということは、相当の『才能』なのだろうな。」
-------------先ほどの話で、属性の強さの中に『才能』というものがあった。
つまり星野は、この生まれながら決まる『才能』、RPGっぽく言うのならば、初期能力が優秀であることを意味するのだ。
王であるレイリー、そして側近であるチェリスが驚くぐらいなのだから、星野の『才能』がいかに凄いのかが伺える。
『水』。この属性には、生物の機能を抑制させる力が備わっている。
具体的に言うならば、『火』が戦いに特化した属性だとすれば、『水』は戦いを止めさせる事に特化した属性なのだ。
うまく使えば相手を傷つける事無く、相手を無力化することも可能なのだ。
ちなみに言っておけば、『雷』、そして『氷』も、どちらかと言えば戦い向きの属性だ。
先ほども言ったが、『地』は守りに向いた属性。これ以外の『闇』と『光』は万能の属性だと今は考えておいていいだろう。
--------------何はともあれ、平和主義である星野にはぴったり属性なのである。
星野自身もこの説明を聞いた後、内心は『よかったぁ』と思っていたのは秘密のお話。
「『水』・・・・か。よし、では星野君、今度は君にその属性の使い方を伝授してあげよう。」
何から何まで丁寧に説明してくださり、お世話になっているレイリーに、星野は申し訳ない気持ちなのだが、今は分からない事が多いので甘えることにする。
「とは言ったものの、使い方は動物のよってそれぞれ違う。この国にいるアザラシに実際に聞く方が早いかもしれないな。マッハ君、すまないが連れてきてほしい者がいるのだが・・・。」
申し訳ないようにレイリーがマッハに声をかける。いや、レイリー自身はマッハを頼っていると言った方がいいだろう。
マッハはこれでもこの国でよく知られる有名な動物。自らの足で飛び回り、他の動物の困ったことなどを積極的に解決する、人の世界でいう警察のような存在だ。
その実績もあって、様々なギルドから誘われることも少なくはないが、ことごとく断り続けた。
理由は、グループに身を置くことによって甘えが生まれてしまうのでは、と恐れたからだ。
孤高の存在としての立場にいることで、その甘えにしがみ付かないようにするため。
ではなぜ星野のギルドに入ったのか?
簡単である。レイリーの提案だったために断らなかっただけの事である。
------------話はそれてしまったが、ようするにこの国に住む動物達の事について、ダントツに詳しいのはこのマッハなのである。
「分かりました。王、一体どなたを探せばよろしいのですか?」
マッハが質問すると、王はフッと微笑んで言った。
「ギルド、『聖杯桜桃 (せいはいおうとう)』のリーダー、『モモナ』君を・・・だ。」
その言葉を聞いたマッハ、ポッポ、ウリュは「ええっ!?」と驚いた。
何がそんなに驚きなのか、と星野は一人首をかしげる。
『聖杯桜桃』。このギルド、かなり名の知れたギルドの一つだ。
特にこのリーダーのアザラシ、『モモナ』は女性なのだが、約30匹以上の動物達をまとめている凄腕の動物なのだ。
マッハも含め、もちろん全員面識のある方なのだが、話すことは滅多にない。何より会う機会がない。
「マッハ君、捜索の方頼めるかな?」
レイリーがもう一度念入りに確かめる。だがその必要性はないと言った感じで、「もちろんです。」とマッハは強く返事する。
「では行ってまいります。すぐに戻りますので・・・。-------------ポッポ、ここからサーチ出来るかい?」
マッハはポッポに何やら確認を取っているようだ。サーチと言っているようだが・・・。
実は、ポッポには隠れた特技がある。それは・・・・『視力が凄く良い』のだ。
現在、ポッポは洞穴を出て、そこから全体を見渡すように拝見する。
今のポッポには・・・ここから遥か離れた動物達の姿がはっきりと見えているのだ。
これを・・・マッハ達は『サーチ』と呼んでいるのだ。
「・・・・見つけたぁ。ここから西に2キロ地点にいるわ。結構近いよぉマッハ?」
ポッポのサーチが完了したと同時に、マッハの足から電気が『バチバチッ』と音を立てて放出される。
これがマッハの属性、『雷』による脚力の強化である。そしてマッハは、
「・・・行って参ります。」
-------------と、それだけを言い残し、超スピードで先ほど登ってきた階段を滑るように降りて行った・・・。