複雑・ファジー小説
- Re: アザラシと動物ランド、F!! 『皆様の名言、大募集!!』 ( No.38 )
- 日時: 2012/07/23 19:19
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode
「パート4」
----------------5分程経ったころであろうか。マッハが戻ってきたのは。
決して星野のような人間にとっては近いとは言いがたい距離を、もののわずか5分で往復してきたのだ。
その背中に・・・・アザラシを乗せて。
「王、連れて参りました。」
マッハがそういって、そっと体勢を低くする。後ろに乗せているアザラシが降りやすくするためだ。
そのアザラシは見た目は星野と同じような容姿をしている。一つ大きく違うのは、星野の身体の色が白色なのに対して、そのアザラシはピンク色だという点。女性らしいと言えば女性らしい色である。
が、その実態は先ほども言ったとおり、ギルド『聖杯白桃』のリーダーなのである。
「-------------皆様ごきげんよう。そして初めまして。私のお名前はモモナと申しますわ。」
と、マッハの背中からゆっくりと降りながら言った。話し方もそうであるが、雰囲気もまるでお嬢様の様である。
とても大勢をまとめあげるようなリーダーには見えないというのが感想だ。
「すまないなモモナ君。急な収集をかけて。」
レイリーが申し訳なさそうに言うと、「いえいえ、お暇でございましたから。」と丁寧に答えた。
レイリーとモモナは結構面識がある。それはモモナのギルドの実績を認めて、レイリーが直々に依頼を申し込む事もあるからだ。それほどの腕の持ち主なのだ。
そんなこととは知らず、星野がただただモモナを見ていると、モモナが星野の視線に気が付き、
「あら? そちらが例のお方ですか?」と、小さな手をスッと星野に向けてレイリーに尋ねる。
レイリーは「そうです」と返事すると、モモナは「私とそっくりですわね。」と微笑んで言った。
星野もモモナの身体の大きさはさほど変わらず、アザラシの中でも小柄なほうだ。
そして、「ふふっ。」と笑うと、モモナは星野にゆっくりと近づいていった。
----------------それを見て、星野は驚愕した。いや、混乱したと言ったほうが正しい。
この何気ない『近づく』という行動は、つまり言えば、『移動する』ことと同じ意味を表す。
星野がどう頑張っても出来ない事であったのだが・・・、なんとこのモモナ、まるで地面『滑るように』移動しているのだ。
今の星野とモモナには、足というのが存在しない。
なので、移動する時は人間で言うなら、匍匐前進をするような感じで手を使って身体を引きずるような形で移動する。
が・・・・今のモモナは手はおろか、全身の筋肉を使っている形跡さえないのだ。
まるで空中に浮きながらそのままスライドするように動いているような感じなのだ。軽くホラーである。
「あら、ごめんなさいね。ちょっと驚かせてしまったかしら?」
星野はあまりに驚いていたため、口をアングリ開けていたため、モモナはすぐに星野が驚いていると分かった。
星野もハッと我に返ると、首を横に振って、「だ・・・大丈夫です。」と答えた。
「星野様にもすぐ出来るようになると思いますわ。ではさっそく始めましょう?」
「ほ・・・星野様!?」と、思わず口に出して驚いた。なぜ様付けなの!? 王様に対してだったら分かるけど・・・・と星野はモモナに聞くと、
「いけませんでしたか? ごめんなさいね。私は誰にでも様を付けて呼ぶようにさせてもらっていますの。」
いや・・・別にいいんですが・・・・と、星野はおどおどして返事した。なんか本当にお嬢様みたいだなぁと、星野はなぜか感心した。
「------------ではさっそく参りますわ。星野様、属性を放出することはお出来ですか?」
属性を放出・・・? もしかして、マッハがさっきやっていたようなことだろうかと思い、星野が聞くと、「その通りですわ。」と答えた。
「試してみましょうか。星野様、水をイメージしてください。身体から水が湧き出てくるような絵を頭に強くイメージしてみてくださいな。」
水が・・・・身体から湧き出てくるイメージ・・・。
星野は言われた通りに頭に水を思い浮かべ、『身体から湧き出てくる』と強く念じた。
水・・・・水・・・水・・・・・・・・・水ッ!!!!
----------------と、強く念じていると・・・・水の代わりに汗がタラリと垂れてきた。
「ぷッ、あはははは!! 星野の身体から水じゃなくて汗が出てきてる!! あはははっ!!」
ポッポは一人爆笑。ウリュはそれを必死に「笑ったらダメだよぉ・・・」とおどおどして注意する。
まぁこんなにすぐに、簡単に出来るわけがないのである。そんなことが可能なのはマンガの世界だけなのだから。
いや・・・・ここもそうであるのだが。それは内緒のお話である。
「ふふっ、もう大丈夫ですよ、星野様。おかげで星野様の属性の使い方が分かりましたわ。」
必死に念じたせいか、なぜか息を切らしている星野に向けて、予想外にも明るいニュースが飛び込んできた。
えっ、ということは・・・僕も属性を使えるって事!? とモモナに聞くと、
「ええ、今からそれを試してみましょうか。でもその前に・・・・まずはお外に出なければいけませんわね。」
モモナはそう言いながら、レイリーの方を向いて目で外出の許しを訴えかける。
「もちろん構わないぞ。すまないが星野君をよろしく頼む。」
と、レイリーから言われたので「ええ、おまかせくださいな。」と、微笑んで言った。
「ではさっそく行きますわ。マッハ様、星野様をお願いしますわ。私は大丈夫ですので。」
と、モモナはマッハに言う。星野は動けないので、マッハに連れていってもらうしかないのだ。
それを聞いてポッポは、「あたしも行く〜。」と張り切って言う。ウリュはどうやらポッポに強制的に連れていかれる形になっているようだ。本人の了解も得ずに。
では、どこに行きますか? と、マッハがモモナに行き先を聞くと、「ここから近いですし、『レイクビーチ』に行きましょうか。」と答えた。
モモナの言う『レイクビーチ』とは、ここからそこまで遠くない、『水』の属性を持つ動物達の修行場所としてもよく知られる湖のことだ。
-------------モモナ達は、レイリー達に一言「行ってきます」と言い、出発していった・・・。