複雑・ファジー小説

Re: 罪とSilencer ( No.25 )
日時: 2012/08/04 16:05
名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)

四話「移動中」

中央自動車道にテロリストが二人、バイクに乗って排除しに行こうとする公士と公視将校が二人。
 朝、忙しく通勤する男たちの間を縫うようにオフロードに乗って急いでいる三戟紫炎は、白バイが見たら必ず駆けつけるであろう『携帯を持ちながら運転』の技術を使っていた。
「で、『右目』『左目』は三年前と変わってない様子で…… いい年だから喧嘩しないほうがいいのに……」
「ま、眼帯が医療用になっているのが進化かな…… 最近は二人とも離れて単独行動をとっているようだけどな」
携帯からは宇検の声と鈍いバイクの走行音が聞こえてくる。向こうもバイクで来るらしい。「で、問題は地形ですよね?」
「そうだ。下手に暴れると中央道が遮断されるからなるべく根元を壊さないように気を付けないとねぇ」
 高速道路は大体が陸橋みたいなものだ。根元を折れば道がなくなってしまい、その分復旧が遅くなる……能力者がいなければの話だが。
 颯爽と場違いのバイク(オフロードは林道などで走ることが多い)で街を横切って、通行止めになっているインターチェンジへ向かった。厳重に封鎖されていて何十人の警官が黄色いテープを引いて報道陣が中に入らないようにしていた。
「これはすごいね……」
 よくテレビでみるアナウンサーや重そうなカメラを持っている男などが餌にたかる蟻のように今や今かと構えていた。
さすがに蟻のようだからといって轢いてしまったら不味いから、バイクから降りた。「こいつだれ?」という眼をしている人々をかき分けながら懐から警察手帳を出すと、そばにいた制服警官に堂々と見せつけた。
「はい、通りますよ」
「あ……はい。どうぞ」
警官が頷いた瞬間、バイクに乗ってそのまま中に入っていった。ゴールしたマラソン選手みたいにテープを切って。
「き、君!? 危ないからやめなさい! こら! 危ないから出なさい!」
警官が呼びかけたが、紫炎はそんな言葉で止まるわけがない。そんなことより、今だと飛び出したカメラマンを止めることで手がいっぱいになった。
そのまま、映画での地球滅亡シリーズのような自動車の列をすり抜けながら進む。すると200mの真ん中に、白煙をあげている黒塗りの自動車がさかさまに横転しているじゃないか。車体の外側にあるマークは一般人が見ても気にしない程度のマークだが、僕ら組織の人間ならすぐに【護衛車】だとわかる。
「おい、僕の同僚はこんな役に立たない人間だったのか? まったく……負担を減らしてよ……」
呟いたとき、頭上をバイクを飛び越していった。

一方、横転した自動車の上でとある学校の制服を着た眼帯を付けている姉弟が二人。
「おい、つばき! なんかきたぞ!」
「うっさい!! どう見たって最近できた日本の特殊部隊みたいなものでしょ? 三年前の生き残りかもしれないけど、私たちに勝てる奴なんてそうはいない」
「それはそうだ。僕たちは負けることはない。早く、死体を焼いて灰を水に流そう。」
「なんで、そんな手間をかける? 暗殺ならほっとけばいいじゃないの」
「いや、そういう命令だから。『あの人』の……」
「わかったわ。さっさとこいつの中から目標ターゲットだしてさっさと焼いちゃおう」
自動車をよっこらせと手をかけてひっくり返すと中から重症の少女と護衛二人が出てきた。
「さて、悪いが死んでくれ」
日本刀を空中で出すと両手で掴んで振り落そうとした。

 日本刀の一閃に銃弾の一撃

「おいおい、君たち何しようとしてるん?」
スーパースポーツに現れたのは
体の輪郭をはっきりさせる黒いライダースーツ
真っ赤な髪
雑に結ばれたポニーテール
細い体つきだが、バイクの乗りこなしから相当な戦闘経験があるに違いない。
腰には傷ついた大型拳銃デザート・イーグルを装備。でも完全にガタがきてて正直アクセサリーみたいなものだろう。

 性別は女

「さて、俺は知名崎宇検っていうのだがそちらの俺の懸賞金はどうなっている?」
今日も宇検は世の中を見通しながらわざとらしく騙されたふりをして敵を痛めつける。