複雑・ファジー小説
- Re: 罪とSilencer ( No.26 )
- 日時: 2012/08/07 10:31
- 名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)
五話「戦闘中」
自分が立っている所から3メートルあたりにあるブレーキ痕をじっくり眺める。
「…………」
堂々と仁王立ちしている自分の師匠の姿を見る。
「……オイ!! ゴラァ!!」
「ん? なんや?」
体を前に向けながらこっちを向く知名崎宇検に罵声を浴びせた。
「師匠はいつも、いつも、僕をまず危険な状態にいないと登場できないの!?」
「……うっせぇよ。テメェはそう簡単に死なないだろう?」
「ま、確かに主人公ですけど!? だからといって……」
言葉が出ない紫炎を見てニヤリと笑った。
「作戦としては俺がこの二人をぶちのめす。で、テメェがあの三人……少女優先で助けなさい」
「諒解」
一方、姉弟は怒り心頭だった。
「大分ナメられてるね。つばき」
「どうせ、下っ端で部下に師匠と言わせている傲慢な女なんでしょう。私たちは二人で最強!! あんな知らない女を粉屑同然にしてやるさ! 」
宇検の姿を見て眉をひそめると、『聖剣製造』と呟いた。空間から滑り落ちるように出てきた日本刀を、椿は掴むと構えた。眼帯の下にあった左目の真紅が、今までの血を表しているようだ。
「僕も本気でかかります。あの女は賞金首になっていない以上簡単に倒せます」
桜はすまし顔で言うと、『修羅像』と呟いた。すると空中に短剣が三本浮いた。眼帯が外れているため、右目の真紅が今までの戦いを表しているようだ。
知名崎宇検も怒り心頭だった。この惨劇のためではない、自分を馬鹿にされたからだ。
「さて、俺のことを馬鹿にしていることはしょうがない。なんせ賞金首にも入っていないんだから。でも二つ名はとても有名だから名乗ってやりますか……」
宇検は首の骨をボキボキ鳴らすと、拳を丸めて走り始めた。
「『紅きじゃじゃ馬』! いざ、参る!」
その言葉にこたえるように
「「『隻眼姉弟』!! 任務遂行のため、ぶっ壊します!!」」
三人は周りに突風ができるほどの衝突が起きた。その嵐を避けるように忍び足で少女に駆け寄る紫炎の姿は滑稽だったが……
今日もまた、嵐は吹き荒れる。
作者から一言
これからバトルシーンに入ります。ご期待してください!!