複雑・ファジー小説
- Re: ( No.51 )
- 日時: 2013/07/23 00:08
- 名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)
- 参照: 企画だね。うん、企画だよ。参加してね
第十八話「三戟紫炎の本領発揮」
洞窟前にまたもや三人の人間が立っている。三日前とは違うところと言えば二人は包帯を巻いているということだ
「また懲りずに来たのか? 別にこちらから儂たちが出向くのに。そんなに早死にしたいのか?」
もちろん、洞窟の前には大きな楯を持った男がいる。盾の中からぬめりと女が出てくると銃を構えた。
「この銃でまた撃たれたいの? 私は弱い人を相手にするのは嫌いなのですわ。戦わずにしてその少女を差し出せば生きられますよ?」
安全装置を外し、狙いを定める女と盾を構えて女の助けをしようとする男をみて、紫炎は暗い顔で言った。
「君らの名を知りたい。これで会うこともないだろうだからな」
そのくらい顔つきを見て女は紫炎が死ぬ気で来たと感じた。
「貴方、殉職する気? ま、しょうがないわね。私の名は海鳴海」
男は少しため息を付くと
「儂の名は盾付顕」
と名乗った。
両手を敵二人にかざす。予想通りに敵は攻撃を防げると思って特に動く気配もない。その油断が命取りになる。
「軍隊式……」
自分の手に力を込める。今までの想いを晴らすべく、恨みも込めて。自分の両手にエネルギーと熱がたまっていくのがわかる。そして、敵が油断しているのもわかる。
「海兵隊!!」
掌からどんな物でも出すことができる僕の能力『七つ道具』の応用で、めったに見せない『軍隊式』シリーズの一つ『海兵隊』。それは、掌から発射された状態のあらゆる銃弾を同時にできるだけ多く、一点にぶつける技。もちろん、盾を持っている敵は逃げることもできず、物体を通り抜ける能力を持つ人間は常時発動型の能力じゃない故に気を抜いた瞬間に死ぬ。それらを考えた故での作戦だった。
「こりゃ、酷いね。死体もないじゃないか」
敵が立っていた所には大きな焦げ跡しか残っていなかった。そばには穴が開いた盾もあるから盾付顕は死んだのだろう。もちろん、海鳴海も死んだと思う。
「味方からの情報も漏れて、捕まるのも時間の問題だ。早くクラークを捕まえて刑務所に入れよう」
こうして、吉祥恵那を守る音更謡と三戟紫炎は洞窟へ足を進めた。