複雑・ファジー小説
- Re: 罪とSilencer オリキャラ募集!!レポート更新 ( No.54 )
- 日時: 2013/03/13 23:36
- 名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)
- 参照: 学期末テスト終わりました
第十九話「受付嬢」
洞窟から300m離れたところに20代の女性が立っていた。黒い長髪ですまし顔、鼻にかけた黒縁眼鏡で粗雑に置かれている監視カメラの画像を見ている。もちろん、同じく傍にはパソコンもある。パソコンに冷めた顔つきで
「門番が倒されたようです。トラップを始動させて、敵体力の消耗を測ります」
とクラークへのメッセージを打ち込んだ。
「敵パーティのメンバーは?」
「ベンケイ、ナイト・ウォーク、ターゲットの三人です」
「ターゲットがいるならしょうがない。殺さずに疲れさせてここまで来させてくれ」
メッセージが届くとともに後ろの部屋から騒がしい音が聞こえてくる。対敵用の装置が動いているのだ。装置がなくても戦える仲間だと思っていたが、準備をしているということはよほど強い敵だと意識しているだろう。敵が来るまで短くて30分以上かかるだろうと推測すると椅子から立ち上がりコーヒーを飲みに出かけた。
ベンケイこと三戟紫炎、ナイト・ウォークこと音更謡、ターゲットこと吉祥恵那はいりくんだグネグネのトラップいっぱいの道を慎重に進んでいた。音系統のトラップは音更謡の能力「隠密」で、後のトラップは経験で解除していった。
「師匠直伝の技なら敵の死体を盾にして進むという荒業があるのだが……」
汗を拭きながらため息交じりに言うと、謡も同じく溜息をついた。
「紫炎君が木端微塵にしたでしょ? まったく……」
溜息が相次ぎながらも、40分もの時間をかけてようやく開けた場所に出て来た。正直ここまで疲れるのなら絶対にあるはずの裏口でも探せばよかった……。目の前には机の上に飲み干されているコーヒーカップとパソコンが置いてあった。パソコンはもちろん、押収する。机……まるで会社の受付のような机の向こうには大きな扉があった。
指と手で指示を出し扉のそばに静かに近づく。扉に耳をあてるが何も聞こえてこない。もう一度謡に指示を送る。指で三つ数えたら突入だと。
「(3……2……1……GO!!)」
謡がドアを蹴破り、掌から閃光手榴弾を投げ込む。大きな爆発音と光が響き渡った。
「よし、敵さんは呻いているはずだ」
ドアから少し隙間を作って除くとガラスで覆われている部屋の真ん中で画像と同じクラークが倒れていた。ガスマスクをつけているからわかりやすい。
「七つ道具」
掌から大型拳銃のコルト・ガバメントを取り出すとゆっくりとクラークのそばに近づいた。謡も恵那を守りながら近づいてくる。クラークを座らせるためにも、ガスマスクをつかんだ瞬間、
「誰も私の存在に気が付かなかったのが問題です」
いきなり、足先から腰までの感覚がなくなり崩れ落ちた。動かそうにも動かない。
「くッ……」
謡も同じく地面に伏せていた。立ち上がることはできない。後ろからゆっくりと歩いてくる女とガスマスクをかぶっているクラーク、どちらかの能力なのかもしれない……早く解明しなければ、恵那が殺される!!