複雑・ファジー小説

Re: 罪とSilencer  第二十五話更新。第一章終盤 ( No.62 )
日時: 2013/04/12 21:34
名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)
参照: 第一章終わりです。

第二十六話「後日談」

結局、俺は引退をして株をやっているわけでもなく静かに病室にいた。完負の新潟のアジトに有った情報で今、僕たちの同僚が張り切って駆除作業をしているはずだ。この日本に住み着いたテロリストを排除するために、テロリストの繋がりをプチプチ切っているだろう。

「はぁ……両足が元に戻るなんて夢のようだ」

吉祥恵那さんの能力を再検証してみたところ、『様々な傷を治す能力』ではなく『怪我をした相手の体を健常な過去の体へと遡る能力』だった。だから、毒のダメージを受けた宇検は治り、元々備わっていたクラークはマイナスの能力を治すことはできなかった。治せなかったと言っても恵那さん曰く「クラークさんが目の前でゆっくりとバラバラになっていった……ごめんなさい」と言っているのだから効力は遅くなったのだろう。声の速さだったら今頃冥土にいるだろう。

「恵那さんは僕らの組織に入ると決心したそうだし……」

その後、恵那さんは両足を失い、腕が折れた僕と胸を複雑骨折した師匠の二人を治した後自分の身を守るためにも僕らの組織に入ると決めたそうだ。親は反対したかもしれないが、今、医療部隊で働いているのだから許可は得たのだろう。

「謡は適当なことほざいてどっか行ったし……」

謡のことを呟いていたら病室の扉が思いっきり開いて

「ドーンとやってきました!! はい、フルーツバスケット」

「……病人だぜ?僕」

謡は両手を傷つけながらも、クラークの声を影響のないぐらいに抑えて、なんとか新潟を救った。その後、病室で眠っている僕を見た後どこかに行っていたらしい。今は目の前で元気そうにメロンを食べているのだが……それは僕のでは?

「さっき通りかかった際、宇検さんが元気よく中庭で子供たちと鬼ごっこをしていたけど……あの人は治ったの?」

「師匠……恐るべし」

「それとね。宇検さんとポケモンで遊んだんだけど、すごいのは全員『はかいこうせん』を覚えてたよ。やっぱ戦うのが好きなんだね! ちなみに恵那は回復系統の技だらけ! この前言ったオンライン対戦の人たちだったよ。 世の中って狭いね」

「わかったから、落ち着けって……」

師匠つまり知名崎宇検は胸を複雑骨折したが恵那さんのおかげで元通りに戻った。つうか、前よりも活発になった。あの人には疲労とか存在しないのか? 師匠があの有名人『出遅れた最強』と呼ばれていたことには驚きだが、やはり『神々』とは腐れ縁なのかもしれない。

「ま、ゆっくり休んで次の仕事がんばろう!」

「え? これで謡ともお別れじゃないの?」

「実はですね。ウチは宇検さんに紫炎君の給料をちょっと貰って紫炎直属アシスタントになりました!」

「給料をかえせぇ!! って痛たたたたぁ……」

「大丈夫?」

ま、ちょっとばかし頑張ったから少し横になろう。クラークよ、安らかに眠れ……そして神々、もし会ったら僕たちの学校を壊した罪を償ってもらう……だから、仕事に励むためにも横にならなければ……
                        
第一章『ナースにご用心』終