複雑・ファジー小説

Re: 罪とSilencer  第二章第三話更新 ( No.67 )
日時: 2013/05/07 20:46
名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)

第四話「秤辺 冴里の護衛」

「血塗れにすることが私の使命であり……人生なのですよ……」

今さっき、運転手の血がこびり付いている大ぶりのナイフがとても気になる。……そんなことよりも!!

「こちら、『ベンケイ』。敵襲アリ。援護班はすぐさまポイントBに向かってくれ…………オイ! 応答しろ!」

耳についているインカムを使って仲間に援護を要請するが、返事がない。まさか……ねぇ。

「君らの作戦は私たちには筒抜けだよ。コードネーム『ヨシツネ』には仲間が数人襲いに行っている……大人しく、渡しなさい」

100mぐらい離れたところに立っている男がゆっくりと歩いてくる。隙があるようだが、実際はまったくない。多分、僕を罠に送ろうとしているんだろう。だが、敵に怯える僕じゃない。

「嫌だ!! 冴里……後ろに居ろ。もし敵が近づいて来たら能力を使って天満宮へ逃げろ!!」

「ボクもサポートするよ。敵の行動はボクには読める」

「いや……止めとけ……」

敵を凝視していると、冴里は叫んだ。

「避けて!!」

すぐさま、僕は飛んだ。戦闘で避けてと言われたらやはり手榴弾を連想してしまう。冴里と共に地面へと飛び込んだ。

「ん?」

爆発音が鳴り響くと思っていたら、鳴り響かなかった。熱風もない。

「ナ……ナイフが飛び出ている! 紫炎サン、逃げよう」

僕が立っていた空間に男が持っていたナイフが浮かんでいた。男の手にはナイフはない。瞬間移動か?

「そ、そうだな」

すぐに立ち上がり、ジグザグな路地へ進む。男が追ってくると思ったら、ついてこない。狭い通りでは僕の能力で戦うのは難しいから、幸運を得たかな……

「こっちだ。もうすぐ、合流地点だ」

合流地点は開けた空き地だ。ヘリが着陸できるぐらい広いから、合流地点となっている。大急ぎで駆け付けると、空き地の真ん中には


「待っていました……。衛星ってすごいですね」


さっきの山高帽のナイフ男が空き地の真ん中に立っていた。

「なんであいつがいるんだよ。冴里、あいつを仕留めない限り進めない。手伝ってくれ,元犯罪者だろ?」

「その言葉には文句があるが、しょうがない、いいよ。アイツの心の中読んでやるさ」

紫炎は掌からサイレンサー装着H&KMk23を、冴里は手渡されたコンバットナイフをすこし慣れた手つきで持つと、山高帽の男と対峙した。