複雑・ファジー小説
- Re: 罪とSilencer 久しぶりに更新 ( No.71 )
- 日時: 2013/06/02 19:38
- 名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)
第六話「切り裂きジャック」
切り裂きジャックという人間を知っている人は多いのではないだろうか。切り裂きジャックは19世紀終わりにロンドンで猟奇的殺人事件を起こしたことでミステリーが好きな人なら誰だって知っているだろう。知らない人には説明する。切り裂きジャックは1888年8月31日から11月9日の間、ロンドンで売春婦5人を惨殺した。新聞社に犯行予告を送ったりとして、一躍有名になってもいる。殺害方法もまた、奇抜で、解剖や臓器の摘出など……もちろん、連続五回バラバラ殺人事件で済んだのは……のちのMI6を作り出すきっかけとなった男達のおかげだった。死体は、厳重に保管されていたはず……
「三戟紫炎? どうした、固まっておるぞ? まるで的のようだ!」
ジャックの手からナイフが名乗る前よりも早く撃ちだされてくる。いや、僕がビビっているだけか?
「うるせぇ。お前は100年前には死んだはず。いったいなんで生きているんだ?」
「さぁ? 私を倒したら教えてあげてもいいよ」
ナイフを体すれすれで躱す。奴と戦った時の記録を思い出せ……奴が能力を最大限発揮すると鉄仮面を装着するのは思い出している。どうやってジャックを倒したかを思い出さなければ……
「えっと……」
ナイフを躱しては、時々入る冴里の指示でいろんな方向に飛ぶ。そのうちに思いだし始めた。
彼はイギリス最強と言われた刑事に顔面を焦がされ、腹部を吹き飛ばされて殺された……この僕にそのような強さはない。まぁ、強い武器はあるが。
「これはどうだ」
熱追尾式ロケットランチャーを左手から苦し紛れに発射させた。手が焦げかけるけど、ここで倒さないと敵の増援が来るかもしれない。
「どうやって、そんなものを!?」
ジャックはいきなりロケットランチャーが飛んできたことに驚いていて、うまい具合に顔面に炸裂した。轟音が響き渡る。
「やったか……?」
爆発音とともに熱風と煙が充満している。これじゃぁ、倒れたか確認できない。まぁ、粉々になっていたら確認の使用もないのだが……
少し安堵していたが、冴里の声で元に戻された。
「気を付けて! まだ死んでない!」
煙の中から一本のサバイバルナイフ飛んできて、右腕に突き刺さった。鋭い痛みが右腕にはしる。
「あれでもまだ生きているのかッ!? 油断したッ!」
煙がだんだんと晴れていくと、ミサイルの影響でできたクレーターの真ん中に顔から煙を出している男、ジャックが立っていた。
「それぐらいじゃ、私の体を貫くことはできません」
切り裂きジャックはイギリス最強の刑事に殺された。そう、200人以上の警官の犠牲を伴って……。彼の体は能力で固い金属で守られていた。だから、炎使いだった最強の刑事は腹部の金属を溶かして、殺したのだった。だから、ミサイルで一番薄い顔面に打ち込んだのに……
「まだまだですね。しかし、私と戦ったことがあるようで……私に記憶はありませんが」
顔に半分ついている鉄仮面がゆっくりと元通りになっていく。能力発動時は鉄仮面装着で体が金属になる。さらにナイフを永続的に取り出し、視界のどこにでも出現する能力だから昔は最凶だったらしい。徐々にジャックについて思い出してきた。そして、今戦っているはずの師匠の言っていたことを思い出した。ジャックの倒し方を、師匠は言っていた。
「右腕のナイフ抜こうか? アイツは油断しているから今が好機かも」
ぶっきらぼうに言っている冴里の声に元気よく返事をする。
「大丈夫だ。あいつの倒し方を思い出した」
僕は右腕の痛みを堪えながら、立ち向かった。