複雑・ファジー小説

Re: 罪とSilencer ( No.92 )
日時: 2013/08/12 21:49
名前: 檜原武甲 ◆gmZ2kt9BDc (ID: S20ikyRd)
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs/index.php?mode

第十四話「最凶の殺人者」
 まずは風合瀬東西南北カソセヨモヒロについて話そう。彼は自称哲学者でフリーの殺し屋。彼とは二年前で対峙した。僕は危険性が高いマインドコントロール系統の能力者を暗殺しに行った時だった。彼はすでに一部の人間に知れ割ったっていたから教会で見つけた時すぐに手を掴んで人目のないところに連れ込んだ。下手に人を殺すと後が付いて不味いから気絶させる程度にしておいたのだが、ターゲットは信頼ある側近たちが持っていた日本刀で殺されていた。原因は側近たちがターゲットを囲んだ際に全員、同時に転んで刺さったというのだ。これは周りの信者に見られて、風合瀬東西南北が犯人ではないと最初は思っていた。「人間生まれる時は同じだが、死ぬときはそれぞれ。今回は見逃してやるよ」と言い残して去っていく前までは。彼が危険対象の一人にすべきと師匠に行ったが、断られてしまった。彼の能力名は分からないが、暗殺された能力者の左腕に場所と日時と死因が書き込まれていることから能力で場所と日時と死因を指定して、その通り殺す能力ではないかと考えていた。ともかく、風合瀬が出てくるとめんどくさいことになる。

「で、風合瀬が悪党を倒したのがわかった。で、何を僕らに依頼しようとしている?」

「そいつが、僕のジャブを全部持ってちゃったの! だ、だから取り返してほしくて!」

そんなことを一応公務員の僕が引き受けたら……懲罰確定だ。お引き取り願おう。

「僕はその依頼を引き受けることはできないよ。なんせ、法で人を裁く人間だからね」

「うぅ……な、なんで! 僕の必死の願いをう、受けとめてくれないんですか!」

犯罪だからだ

「無理だって! 謡、一人で対処できないのか!」

「一人で対処できる相手じゃないでしょ。紫炎君もとうとう耄碌男に」

泣きそうな顔でこちらを見つめるが、無視をする。眼を逸らすが、それをみて謡がこっそりと耳打ちをした。

「ここで依頼を受けないと不味いよ。だって、この娘は……」

「なんでぇ! 僕のジャブをと、取り返してくれないの! もう、これし
か残ってないのに!」

早苗はそういうと狂ったように覚醒剤を右腕に打ち込んだ。顔のこわばりが消えて、幸福感に包まれた表情に変わっていく。麻薬の効果そのものだ。

「不味い、不味い、不味い! 紫炎君、早苗さんは覚醒剤を打ち込むと、能力を発動できるようになるんだ! 脅迫してくるかも!」

心を読まれるのは一番つらい。特に僕たち秘密を扱う者にとって情報を盗まれるのは職業柄不味い。暗号コードとか漏れると本当に不味い。

「僕に任せて」

眼の前に立ちふさがるのは冴里だった。強く、過去の自分を見つめているように見つめた。早苗はたじろいた。

「なんで、読めないの?」

「それは、この僕が君の能力に干渉しているからだ。この僕の能力『記憶劫盗』はいつも以上に強くなっている。そのヤクを使い切る前に早く能力を止めたら?」

「……くッ。負けられない、僕のために!」

初めて会ったのにすぐさま険悪な雰囲気を醸し出している二人の間に音更謡が入った。その瞬間。

「うぅ……」

「やめて!」

二人は頭を抱えるなり、胸を抑えたりして倒れた。そのまま、立ち上がることはない。

「ふぅ、やはり常人には厳しいよね……特に女性には」

「何をした?」

「何年前かの暗殺失敗した時の拷問を思い出して飛び込んだ」

「…………それは無事で何より」

眼の中に突然謡が入ったことで謡の心を読み取った二人は自滅したということか。なかなかやるなぁ。

「さて、風合瀬に会いに行くか」

「そうだね、冴里たちは僕が運ぶよ」

二人を抱え込むと風合瀬がいるであろうカフェテリアへ向かった。彼は依頼をカフェテリアで受ける。どこのカフェテリアかと言うと帝京大学と呼ばれる最高峰の大学のカフェテリアだ。彼はそこで待ち続けている。価値のない人間を知るために。