複雑・ファジー小説
- Re: The world of cards プロローグ更新 ( No.1 )
- 日時: 2012/07/12 19:37
- 名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: HW2KSCh3)
Prologue⇒始まりの足跡
『10月某日。
54枚のカードに魅せられたプレーヤーが、私の元を訪れた。
そのとき既に、戦いは最後を迎えようとしていたところだ。
ジョーカーである私を殺す寸前のこと。
私を殺すことさえできれば、否私を殺すことができていれば、彼は世界に戻ることができたのだろう。
この手紙を読んだ者だけに、私の宝を授ける。
宝は、この部屋に存在する。
ヒントだ。
何もないこの部屋で、君は何を見つけることができる?
52枚と2枚。
全ては今、有るべき場所に』
そこで終わっている日記を、投げ捨てる。終わっている、というよりその部分だけの紙切れであった。“何もない”室内を、一周見回す。ニスで光沢の出る綺麗な壁はへこみ、破壊され。
床は白蟻の侵食により、ぎしぎしと軋むようになっていた。それ以外に、なにも不可思議な点は見受けられない。唯一おかしな点があるといえば、窓がないといった点だけだろう。
来訪者は笑みを浮かべ、だらしなく下げたジーンズから小さなスプレー缶を取り出す。上下に振るたびに、一定の音がなる。シューと音がなり壁に向かってインキを噴出させる。
細かに腕を動かし、文字を書く。
The reincarnation of the joker, 52 players,(ジョーカーの再誕、52人のプレーヤーよ)
I win death with a card and win life(カードをもって死を制し、生を制し)
Come for my neck, slaying(我が首、討ちにこい)
ニッと笑い、ガスだけを噴出するスプレー缶を投げ捨てる。カランカランと音を立て、床を転がる。ぎしぎしと音を立て軋む床を歩きながら、玄関の意味を成さない玄関を出る。
澄み切った空が視界を埋め尽くすと同時に、他の色をシャットダウンした。
