複雑・ファジー小説

Re: The world of cards  08/08いちほ ( No.19 )
日時: 2012/08/08 23:20
名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: KE0ZVzN7)

「おめーらは、詰まらないくらい可哀想な奴等なんやなぁ……。大抵のもんを流すオレでさえ呆れるっちゅーんは、結構酷いもんやと思うんはオレだけだろうがな」

 ため息を盛大に吐き、プレーヤーは頭をぼりぼりとかく。そうして周りを、ギラリと睨む。ひっと息を潜めたプレーヤーの率は、大多数だった。
 既に顔割れをしているルーンと天照は、その様子を隅の方で見ていた。仮面を付けて自分の顔を隠している彼等とは違った、独特の雰囲気が二人を包んでいた。顔割れの一切を気にせず、仮面を付けている彼等と仮面をはずしている二人を、同じフレームに入れ客観的にルーンと天照は全体を見ていた。

「君みたいな人が、僕のことを案じるっていうのは驚いたよ。チビが殺戮を好んだって良いじゃないか。それを他の人にどうこう言うのは、強要の域じゃないかな?」

 プレーヤーの思いやり精神がなんとやら。どうでもいいといった風で涼は、プレーヤーの言葉をばっさりと切り捨てる。僕の趣味趣向を、可哀想だとか断定するなよと、涼が発した言葉の裏には自身しか分からない感情が伏せてあった。

 理解されない。否、理解して欲しくもない、狂った殺戮願望を、可哀想だとか言って表面だけで哀れむな。

 しっかりと涼の言葉の裏には、心の底の感情が伏せられていた。プレーヤーはそれに気づかずに、眉をひそめた。プレーヤーの表情しかうかがう事が出来ない真日璃は、両手を握り心配そうに涼の背中を見つめていた。
 涼とプレーヤーの間に走る不穏な空気を察したのか、そよ風程度だった風力がぐんと上がる。スカートなどひらひらとした服を着ているプレーヤー達は、皆服を抑えていた。
 
「僕は天城涼だ。君は?」

 こんなくだりあった気がするなぁと涼は口の中で呟き、心の中では微笑を浮かべる。催促するように、小首をかしげて涼はプレーヤーを斜め下から見上げる。といっても、身長の低い涼は普通に立っていたとしても、大抵の男子を見上げることになっているのだが。

「オレは、漆崎 宗勝(ウルシザキ ムネカツ)だ」

 腰パン状態の色があせたジーンズのポケットに両手を突っ込み、視線だけで『満足か?』と問いかけているのが涼は分かった。そして、同じように視線で『他には?』と催促する。
 それを受けて、心底から面倒くさいといったように宗勝と名乗った男は尻ポケットに差し込んでいた、黒い財布を取り出す。長財布を開き、レシートなどの間から、端が少し折れたトランプを取り出す。
 マークはハート、ナンバーは8のトランプを人差し指と中指ではさみ、宗勝はトランプを上下にふる。それを見て満足したかのように、涼はにっこりとした笑みを見せる。

「敵かぁ。それなら、殺しても問題はないよね?」