PR
複雑・ファジー小説
- Re: The world of cards 08/11更新! ( No.23 )
- 日時: 2012/08/18 15:13
- 名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: .MCs8sIl)
番外小話 『赤色の一枚のあとで。文字数は500超えればグッ!』
誰もいなくなり静まり返った噴水広場。そこに月明かりに照らされる二人がいた。
一人は天使のようなブロンドの髪でキラキラと月明かりを反射している。ふてぶてしそうな態度をとっているもう一人の、だるそうな男が小さくため息を吐く。
「……冷たいな。あの秒針も、この世界も、その気持ちも、どの瞬きも」
だらしなく下げたジーンズには、少しスプレーの飛沫がついていた。首元がよれた白いTシャツを、ブロンドの髪の青年は見る。
ふっと薄く笑いながら、青年は口を開いた。
「世界なんて、こんなものだろう。ねぇ、切り裂き魔くん」
「……本当に、冷たいな。お前もあの秒針も、この世界も、どの瞬きも」
切り裂き魔と呼ばれた男は、遠くに見える闇に霞んだ時計台をじっと見据える。
口に笑みを浮かべたブロンドの青年とは正反対、無表情のまま男はじゃりっと音を立て回れ右をし、歩を進める。
「ちょっと、切り裂き魔くんっ。一人で行っちゃわないでよ……僕らは離れることなんて出来ないんだからさ」
寂しげで且つ楽しげにブロンドの髪の青年は言う。
最後にその場に残ったのは、じゃらっという鈍く錆びた鎖の音だけだった。
PR