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複雑・ファジー小説
- Re: The world of cards 08/30更新 ( No.34 )
- 日時: 2012/09/01 22:11
- 名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: iAb5StCI)
第三話の前に。
参照100記念小話⇒ジョーカー的二枚の私生活
「ねぇ……、来てよ……」
むあっと汗が充満している室内で、同じように玉の汗をかいた二人の半裸の男がいた。一人は上半身を出し、もう一人は下半身を出している。声を放った青年のブロンドの髪は、汗できらきらと光っていた。
「……くだらないな。考えが、記憶が、感情が。だが、そんなところは嫌いじゃない」
ギシとベッドのスプリングが軋み、悲鳴を上げる。下半身裸の男が、左手に体重をかけ、体の向きを変えたためだった。その様子に、ブロンドの髪がぴくりとゆれる。
青年の瞳はとろんと悦に浸り、期待に満ちた目でもう一人の股間へ視線を延ばす。
「あ、忘れてた。ちゃんと着けてよね。カラーのジョーカー、切り裂き魔くん」
エチケット忘れてないよねと言いたげな視線を“切り裂き魔”に浴びせ、恥ずかしがる素振りでふいっと視線をずらす。その頬は薄っすら紅を帯びていた。
切り裂き魔が何かをしている時にも、時間は止まらず二人の汗のにおいは更に充満していった。二人から湧き出る汗も止まる所を知らず、次から次へと出ては皮膚を滑り降りていった。
そんなことには目もくれず、カラージョーカーを持つ切り裂き魔は、ブロンドの髪の青年の下へと近づく。
「俺の勇気が出た頃に、お前のことを、食べる」
蒸気に火照った紅の頬を、更に赤くさせながら切り裂き魔は告げた。
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