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複雑・ファジー小説
- Re: 僕の世界と愛情と ( No.1 )
- 日時: 2012/07/29 06:24
- 名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: khvYzXY.)
【零話め。 昔の話を少しだけ 1】
窓越しに見える雲一つない青空に浮かぶ真夏の太陽を、頬杖をつきながらぼんやりと眺める。じりじりとした日差しに目を細める。変わり映えのない外の景色にも飽きてしまって教室を見回した。授業中のせいで、ほとんどの奴が下を向いている。隣の席の世界も、一生懸命に黒板を写している。やっぱり、学年で下から数えた方が早いような成績からは脱出したいらしい。世界が頭を動かすたびにさらさらと揺れる茶髪が、日差しに照らされ艶やかに光る。綺麗だ。
少し熱くなった頬をごまかすかのように、前の席へと視線を移す。普段はうるさい星野も、普段も静かな時野も、お互いにアホ面を晒すように眠っている。寝息をたてるたびに、時野のパーカーの猫耳が揺れる。ふわり、と欠伸をもらした。
こつん、と生温い机に額を当てて目を閉じる。暑いせいで、体力を奪われているらしい。うつらうつらと、すぐに睡魔が襲ってくる。行ったり来たりを繰り返す意識の中、遠くの蝉の声が鮮明に聞こえてくる。
じりじりと首筋を焼く太陽と、やかましいくらいの蝉の声。こんな日は必ず、僕らが少しだけ非日常に踏み込んでしまった、“あの日”の出来事を思い出す。
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